フリーランスのデザイナー・矢野 咲(27)。そこそこモテるのをいいことに、ただ適当な相手と遊ぶだけのただれた日常を送っていたが、ある日突然360度どこから見ても遊び慣れない清純少年にナンパされ、そのまま持ち帰ってともに一夜を過ごしてしまう。美しい文字を書く赤い髪のその少年は、どうやら矢野に密かに思いを寄せていたようで――。
手慣れた女性にナンパをされても、ふとあの日の少年と比べてしまう自分がいることに気づいた咲。そんな考えにもやもやしているさなかに、街中で再び少年と再会を果たす。「下手くそなナンパ」と称して二人で食事をしながら初めてお互いの自己紹介をする二人。ユウと名乗るその少年の発する言葉はどれも素直で、まっすぐで、話しているうちに自分が抱いている感情を認めざるを得なくなった咲が取った行動は――。
初めてのデートに出かける矢野とユウ。矢野の優しい部分、ユウの可愛い部分。デートの中で互いの新しい一面を知るたび 一層惹かれ合っていく2人は、そのまま朝まで過ごすことに。幸せの絶頂のはずなのに、矢野の中にはある違和感が生まれていた。
大きな仕事が決まり、忙しくなった咲はユウと合う時間が取れずに電話で話すことが精一杯だった。そんな中、件の“大きな仕事”の取引先である大手出版社のパーティに出席した咲は、社長から咲のファンだという息子を紹介されるが……。
幼い頃の咲との出会いで自分の世界が広がったユウ。一方咲はユウへの気持ちの整理がつかず悶々とする。そこに喝を入れたのは旧友の嘉彦。一番近くで咲を見てきた彼もまた、大きな感情を抱いていて――。
「初めてあった場所で待ってる」という咲からの連絡にひどく動揺するユウ。気持ちにけじめをつけたはずが、くすぶる恋心に火がついてしまう。待ち合わせの場所で、改めて心が動くままにお互いの気持ちを伝え合う。二人の世界が彩られ、溢れた先にはーー?