あらすじ

心待ちにしていたリュウホアからの手紙にチンナイは大喜び。さっそくフイチンを探して手紙に目を通すが……。一方、リイチュウは母からの新たな習い事に頭を悩ませていた。そんなフイチンがリイチュウの母に呼ばれ、思わぬ提案を受ける。
フイチンさん(1)

1957年~1962年にかけて「少女クラブ」(講談社刊)に連載された上田トシコの代表作。ハルピン一の大金持ちリュウタイ家で門番をしているワンには、フイチンという一人娘がいた。明るくまっすぐで、面倒見の良い性格のフイチンは使用人仲間にも愛されていた。ある日、靴磨きの手伝いをしているとき、立派な財布を拾う。落とし主からお礼を渡されるが「ひろっただけで、お礼をもらう理由がない」と断って……。「おやしきのご主人」「なんの話かしら」「ぼっちゃんのお相手」など8話を収録。

フイチンさん(2)

フイチンさんは負けるのと泣くのが大嫌い。こちらが正しいと思うと誰とでも喧嘩してしまう強情っぱりな面もある。リュウタイ家主人の一人息子・リイチュウの面倒を見ることになったフイチンだったが、それをよく思わないリイチュウの母はフイチンを追い出そうと考える。「なわとび」「ご主人さまのおかえり」「お金をおとしたおじさん」など7話を収録。

フイチンさん(3)

フイチンと過ごすうちに、人格が丸くなってきたリイチュウ。使用人に対して「ぼくが主人だからってペコペコするのはおよしよ」と言ったり、男の節句のあわもちをフイチンの友人たちに振る舞おうとするなど、高慢だった以前のリイチュウからは考えられない。「朝のおさんぽ」「ひろった小いぬ」「とびこんできたアイドル」など8話を収録。

フイチンさん(4)

新年の挨拶もそこそこにギョウザ作りにいそしむフイチンさん。昨年、日本人の友達のところで着物を着たときのエピソードを回想しながら作ったギョウザの味は……。「ギョウザを作りましょう」「元宵節(お正月)」「いなかはたのしい」など7話を収録。

フイチンさん(5)

オウ家の若様が病に臥せり、その薬である岩ごけを取りにアルテンジャンズに向かったフイチンとチンナイ。山深い山林を分け入り、やっとの思いで岩ごけを手に入れたものの、やがて日が暮れ、下山をあきらめざるを得ない。熊や狼が出没する山から、無事にリイチュウの待つリュウタイ家に帰ることができるのだろうか? 「馬賊だっ!」「ありがとうホンホオツ(馬賊)くん」などを収録。

フイチンさん(6)

心待ちにしていたリュウホアからの手紙にチンナイは大喜び。さっそくフイチンを探して手紙に目を通すが……。一方、リイチュウは母からの新たな習い事に頭を悩ませていた。そんなフイチンがリイチュウの母に呼ばれ、思わぬ提案を受ける。

フイチンさん(7)

夏休み。リュウタイ家の主人のはからいで、フイチンはリイチュウ、チンナイ、フイチンの父・ワンと共にアルテンジャンズの別荘で過ごすこととなった。そこにセイシュン女学院の友人であるシュンレイが訪ねてきて……。久ぶりにフイチンと遊べると思っていたリイチュウは、シュンレイにフイチンを取られた感じがしておもしろくない。フイチンは無邪気にシュンレイと一緒に休みを満喫するのだが……。

フイチンさん(8)

外出禁止でセイシュン女学院の寄宿舎に足止めされたフイチンは、リュウタイ家の一人息子であるリイチュウが病気だという知らせを受け、急遽リュウタイ家へと戻る。けれども、それはフイチンに会えず、寂しい思いをしているリイチュウのことを思ったリュウタイ家主人の方便だった。久しぶりに会えたフイチンに、リイチュウは屋敷の秘密を明かす。

フイチンさん(9)

リュウタイ家の一人息子・リイチュウがさらわれ、チンナイはフイチンの元へと急ぐ。やっとの思いでフイチンに会い、事情を話すことができたものの、セイシュン女学院の先生はフイチンがこの事件に関わることをよしとしない。リイチュウのことが気になるフイチンは、寄宿舎を抜け出すことにするのだが……。ひまわりの花のように健康で明るくおてんばで、曲がったことが大嫌いなフイチンさん。最後までその活躍に目が離せない