あらすじ

「君、なんでそんなに死にたがっているんです?」人を喰らう人魚の少女・汐莉に本心を見透かされていた、死を望む孤独な少女・比名子。家族全員を事故で亡くした日、家族の最期の願いが比名子を蝕むある呪いをかけていた――。「家族の分まで、私は――…」
私を喰べたい、ひとでなし 1

「私は君を喰べに来ました。」突然現れた人魚の少女・汐莉は海辺の街に独り暮らす女子高生・比名子の手を取りそう優しく語りかける。妖怪を惹きつける特別に美味しい血肉を持つ比名子を求め現れた彼女は、成熟し、最高の状態を迎えるまで比名子を守り、そして、すべてを喰らい尽くす。遠からぬ未来の理不尽な死を突き付けられ、比名子の胸に渦巻く想いは――。「このひとなら私を――…」

私を喰べたい、ひとでなし 2

「君、なんでそんなに死にたがっているんです?」人を喰らう人魚の少女・汐莉に本心を見透かされていた、死を望む孤独な少女・比名子。家族全員を事故で亡くした日、家族の最期の願いが比名子を蝕むある呪いをかけていた――。「家族の分まで、私は――…」

私を喰べたい、ひとでなし 3

幼い頃から比名子を支えてくれた親友・美胡は「オキツネ様」と呼ばれる人喰いの妖怪だった。しかし彼女の正体が妖怪であれ、絶望に囚われていた幼い比名子を救ったのは、間違いなく美胡の存在で――。正体を知ってなお友人として手を差し出す比名子に、突如美胡の鋭い爪牙が迫る。「そんなだから、悪い妖怪に付け入られるんだよ」

私を喰べたい、ひとでなし 4

死を希う少女・比名子と、比名子の特別な血肉を喰らいに現れた人魚の妖怪・汐莉。互いの望みを叶える為だけに共にいるはずのふたりであったが、次第に比名子は、汐莉にそれ以上の感情を抱くようになる。捕食者、被捕食者という関係を超えて、自分たちはどういう関係なのか。思い悩む比名子であったが、そんな彼女に迫る新たな怪しい影があり――。

私を喰べたい、ひとでなし 5

「自らの身体が円熟したその時、汐莉に喰い殺してもらう」それが死を希う少女・比名子が人魚の汐莉と交わした約束だった。しかしある事件をきっかけに、この約束が反故にされかねない自身の血に隠されたとある秘密を聞かされてしまう。「汐莉は自分の願いを叶えてくれる存在のはずだ」そう信じ、血の真相を問いつめる比名子だったが、汐莉から告げられたのは予想だにしない残酷な真実で――。

私を喰べたい、ひとでなし 6

あらゆるものから隔絶された存在である、人魚の汐莉。何者とも分かり合えない虚無感に苛まれる彼女を、唯一受け入れてくれたのが幼き日の比名子だった。生きる希望に満ちた彼女の輝きを失わないため、祈りを込め、汐莉はその血を分け与えた。それが比名子の、絶望そのものになるとも知らずに。

私を喰べたい、ひとでなし 7

「汐莉さんのことなんて、信じるんじゃなかった。」死を願い、もたらされる死を希望に生きてきた少女・比名子と、そんな彼女を欺き、命を守ろうとしていた人魚の汐莉。真意を伝え死を踏みとどまってもらおうと比名子との対話を試みるも、彼女の抱える絶望は既に取り返しのつかない域に達していて…。生きる希望を完全に失くしてしまった比名子が明日を生きる為、汐莉が下す最悪の決断と、その契りとは――。

私を喰べたい、ひとでなし 8

「あたしはね、お前を助けに来たんだよ――人喰い狐。」松山市内での旅行中に出会った、狐の妖怪・美胡の正体を知る謎の少女。旅行後、普段の日常を送る美胡のもとに、その少女は突然現れる。美胡の過去を知る謎の少女は、自身の正体として美胡とも因縁深いとある大妖怪の名を名乗り、そして美胡がひた隠しにしてきた、消せない過去の過ちについて語り出すのだった…。

私を喰べたい、ひとでなし 9

「お前なんかが、人間に愛されるなんて許さない。許せない。」隠神刑部を名乗る少女・椿に、いつも手首に巻いている数珠を破壊された美胡。その数珠は、かつて人喰い狐と恐れられ悪逆非道の限りを尽くした美胡の獣性を封じる呪縛だったのだ。周囲への被害を恐れ山奥に消えた美胡だったが、その跡を追った先で、美胡と椿、ふたりを巡る真実が明らかになる。