あらすじ舞台は冥界にも広がる!生者でありながら冥界を訪ねることになった宋(ソン)は、亡者に襲われたり生気を奪われたりと苦労が絶えない。冥界で出会った女道士・蘇(スー)により、宋は自らの願い「薛姐(シュエねえちゃん)の反魂」が道に外れた行いであることを指摘され、考え込むようになる。一方で、そんな美しい屍体である薛姐に興味を示し、術士と妖仙が我が物にすべく現れた。街で、冥府さえ巻き込む新しい戦いが始まる!
これの前作の「もっけ」では日本の妖怪を描いてましたが、 今作は近代中国を舞台にした、道教における仙術・妖怪漫画です。 ざっくり説明すると、大好きな姉を蘇らせたい主人公が、道教の世界に足を踏み入れる、という物語です。 中国の道教の世界観が本格的に描かれているので、日本でお馴染みの仙人やキョンシーとはイメージが大分異なります。 仙術や世界観について細かい説明はされないですが(そもそも道教とは明確な定義が無いらしい)、それ故に道教へのリアリティを持たせているように感じます。 巻末などの参考文献を見る限り、作者の熊倉隆敏氏は妖怪に対する深い造詣を持つだけでなく、道教についても相当調べられているように思います。 まぁ道教の知識がなくともマンガは楽しめるのですが、それだと魅力が伝わりきらない可能性はあるかもしれません。 図書館などで参考文献の本を借りて読んでみたり、ネットで少し道教について調べるだけでも、より深く作品を楽しめるのは間違いないです。言葉では説明できないような奇想天外な展開ばかりですから。 仙術バトル以外にも、ぎょっとしてしまうようなエログロも多いので、やや読者を選ぶタイプの作品かもしれませんが、全4巻で伏線もきっちり回収し、綺麗に終わっていて読後感の良い作品です。