あらすじある平凡な夫婦の生活に起こった、ほんの小さな“変化”が、街中を恐怖の底にたたきこむ事件の前兆だったとは……。『時計仕掛けのりんご』他、読者をミステリーの世界へいざなう傑作短編8点を集めた珠玉の作品集!
時計仕掛けのりんごのあらすじある平凡な夫婦の生活に起こった、ほんの小さな“変化”が、街中を恐怖の底にたたきこむ事件の前兆だったとは……。『時計仕掛けのりんご』他、読者をミステリーの世界へいざなう傑作短編8点を集めた珠玉の作品集!
1968〜70年代前半に、ヤングコミックやプレイボーイなどの大人向け雑誌に掲載された全8編からなる短編集。この電子書籍版では、秋田文庫版(1994年)に収録されている「ペーター・キュルテンの記録」「カノン」「最上殿始末」が未収録であるのと、作者のあとがきが含まれていないのが少し残念…。とはいえ全体の完成度が高いことに変わりはなく、いずれの短編も名作揃いです。時代的には、手塚治虫が劇画へ進んでいた頃で、それぞれの短編が、のちの「アドルフに告ぐ」「ブラック・ジャック」「火の鳥」などの作品に繋がってゆくルーツ的なものを随所に感じます。8編の中で一番ヤバい短編を選ぶとしたら「イエロー・ダスト」でしょうか。スクールバスを乗っ取った犯人が沖縄の米軍基地に立て籠もる話で、とてもショッキングで目を背けたくなるような描写が多いですが、短いページ数の中にあらゆる戦争の狂気が凝縮されていて戦慄しました。