あらすじ

「あなたは死んでないよ。俺の中で、まだ生きている…」――。派遣切りにあって仕事がなくなった30歳の岡田正夫(おかだ・まさお)は、8年前にいなくなった父親・憲三(けんぞう)のことを思い出す。そこで、憲三の故郷を訪ねた正夫は、憲三の墓標とボロボロの小屋に残された日記を見つける。その日記を読んだ正夫は、憲三の事を知ろうと山での生活を試みるが……!?
まだ、生きてる… 1巻

「こうなったら…死ぬまで生きてやるか」――。定年を迎えた岡田憲三(おかだ・けんぞう)は、家族に捨てられ、全財産を失い、自分の人生に絶望する。そこで、故郷の山奥で首を吊って死のうとした憲三だったが、ロープが切れて生き残ってしまう。その時、憲三は昇る太陽を見て、この山の中で死ぬまで生きてやろうと決意するが……!?

まだ、生きてる… 2巻

「あなたは死んでないよ。俺の中で、まだ生きている…」――。派遣切りにあって仕事がなくなった30歳の岡田正夫(おかだ・まさお)は、8年前にいなくなった父親・憲三(けんぞう)のことを思い出す。そこで、憲三の故郷を訪ねた正夫は、憲三の墓標とボロボロの小屋に残された日記を見つける。その日記を読んだ正夫は、憲三の事を知ろうと山での生活を試みるが……!?

まだ、生きてる…

死んだ気になれば生きることぐらいはなんとかなる

まだ、生きてる… 本宮ひろ志
マウナケア
マウナケア

リストラされたサラリーマンの末路を描く、本宮ひろ志作品にしては珍しい内容の作品。職を失くし、家族には捨てられ、生きる希望をもてなくなった岡田憲三。失意のまま首を吊ろうと山に入るが失敗、そこでなにかふっきれてしまいサバイバル生活へ、というやけくそになった男の人生が描かれます。人の世話にならず、ただ食って生きていく、そう決めた男は強いです。明らかに眼つきも変わり、イノシシと格闘し怪我をしても医者の世話にならず、小屋も立て畑まで開墾してしまうってんですから。そんな生活をしながらも、決して文明や人間性否定という方向にいかない、というのも”ただ生きる”という意味で妙にリアル。火をつけるのにはライターを使うし、捕まえたイノシシを殺さなかったり、と単なる破天荒なサバイバルおやじになっていないのがいいです。で、私は思いましたね。人間、開き直ることって大切なんだな、と。死んだ気になれば生きることぐらいはなんとかなると。後ろ向きなタイトルだと思いましたが、年の瀬のアントニオ猪木の言葉と同じぐらい、その内容に勇気づけられました。