あらすじ世木幸子と中身が入れ替わって八河柚の人生は一変した。「幸子」として、憧れの速水瞬の親友になることができたから。瞬が喜んでくれるなら「八河柚」だったクソみたいな人生なんか捨てて、「世木幸子」として生きていく。瞬の言うことを聞いていれば幸せになれる。そう信じていた。瞬と幸子を乗せた大阪行きの、夜行バスが発車するまでは。
ソゴールさんの1巻のクチコミで、この物語の不穏さがビシビシ伝わって来たので読んでみたのですが、4巻最後の最後までヤバかったです。 描かれる三人三様の歪み。その変遷の物語は、余りにも苦しすぎる。 女優である同級生・瞬(まどか)を崇拝する隠キャ・柚。彼女の偏執的な崇拝心は、その後、瞬の親友・幸子との「入れ替わり」を機に、迷走を始めます。瞬に振り回され、幸子とぶつかる柚の「らしくない」迷走の痛々しさ。 柚に罵られながらも手を差し伸べられる幸子。彼女の苦しみは、一言で言えば「永遠の罰」。この絶望感が、私には一番理解できました。 一方、最もゾッとするのが、瞬が抱える「コミュニケーション不全」。かなりずれている愛に、私の理解がとても及ばない。 三者三様の歪みの形は、それぞれに作用し合って感情の形を変え、一応の決着を見ます。しかしラストを見ると、あぁ……と嘆息。 最終話のサブタイトルは「もう懲り懲りなんだって」。