あらすじ『菜』は富田耕平・菜夫妻を主人公に、四季に彩られた日本の美しい風物をちりばめながら、家族の折々の情景を鮮やかに描き出す物語。これらは彼らの歳時記であり、もしくは妻時記、そして菜時記である。大勢の家族に囲まれ、にぎやかに育った耕平と、両親に先立たれ、その思い出を刻む家に暮らしてきた孤独な菜。対照的なふたりが夫婦として結ばれ、新しい、愛情に満ちた家庭を営んでいく。
自然と歴史が織り成す景色が日常世界にまで入り込む鎌倉を舞台に、両親に先立たれても、母親が遺した着物を身に着け気丈に振る舞う菜の姿や、彼女の全てを温かく受入れ日々奮闘する耕平の姿に魅入られました。 私自身鎌倉近郊に自宅がある為、作者が描く様々な情景がリアルに大変マッチし、親しみが湧きました。また草木や野鳥、花など四季折々のアイテムを効果的にコマに取り入れる手法に、自分の身近にこんな素晴らしい自然や風景が存在しているのか…と改めて気付かされる作品となりました。