あらすじ

トライアウト直前、野宮は元バイト仲間と飲み会で盛り上がっていた。バンドマン今井を始め今まで無気力だったかつての仲間たちの変わりように嬉しくも刺激を受けていた。彼らやタイガースの仲間にも背中を押され、さらには西高の卒業式に変装して登壇。在校生を前に「オレはプロになる」と宣言し、野宮なりのケジメをつけて当日を迎えていた。その頃、戸川は覚悟を決め、年に一度の定期健診を受けるために病院に来ていた。また高橋は本格的な車いすバスケを目の前にする…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】
リアル(1)

バスケを辞めてから何もかも上手くいかなくなった男・野宮朋美。街でナンパした山下夏美をバイクに乗せ事故り、ケガを負わせてしまう。高校も辞めた野宮は、ある日、古ぼけた体育館で車いすの男・戸川清春と出会い1on1のバスケ勝負を挑む。体育館でのバスケ勝負から繋がった野宮と戸川。ひょんなことから西高バスケ部キャプテン高橋と賭けバスケ対決をすることに。結果、賭けに勝ち西高体育館の鍵をゲットする。その高橋がある日、トラックに轢かれてしまい…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(2)

車いすバスケの選手・戸川は、仲間を殴りチームを辞めていた。そんな戸川だったが野宮と会って「あいつがドカドカ殻を割る。今ならタイガースの連中とも、うまくできる」と一大決心。仲間に謝罪し、チームに戻ってきた。しかし実戦から遠ざかっていたのもあり、チームの足を引っ張り、負けるはずのない相手に負けてしまう。それでも「他に行くところはねえ」と前を向いていた。同じ時期、入院中の高橋は医者から「もう歩くことができない」と告知されたが、とてもじゃないが現実を受け入れることができないでいた。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(3)

もがきながらも前進している戸川を見て焦る野宮。自分も置いていかれないようにと被害者でもある夏美に会いに長野へ行く。そこで見たのは必死でリハビリをする夏美の姿。野宮は心の底から「もっとマシな人間になりてえ」と呟いて長野を後にする。一方、高橋のもとに西高バスケ部の仲間が見舞いに来た。喜んだのも束の間、彼らの態度に激高する。そんな高橋がすがったのは8年前に別れた父だった。しかし久しぶりに会った父の変わり果てた姿にショックを受け、割れたガラスで自分の脚を突き刺す行為をする。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(4)

ひまわり杯で宿敵・ドリームスに完敗を喫したタイガース。敗北を機に反旗を翻した田村たち数人がチームを去っていった。そんな傷心の戸川の元に日本代表候補に選出されたとの手紙が届く。戸川はふと中学時代を回想する。突然の病気で脚を失った戸川は学校にも行かず、同級生の見舞いも無視し、引籠る毎日。そんなある日、山内と虎に出会い、少しずつ前に進むことができた。「誰よりも速く」…陸上時代から変わらない大切な言葉を今でも壁に飾っている戸川。初めての代表合宿を迎える。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(5)

入院から早半年余り、高橋は「Aランクだった俺」の夢を見ていた。リハビリも人よりも早くこなし、徐々に自信を取り戻していた。そんなある日、西高担任・北原先生から学校に戻ることを勧められる。高橋は久々の登校に喜ぶが、自分の居場所がないことを悟り、余計に傷ついてしまう。また、どうにかこうにか免許を取得した野宮はというと母に車を借り、長野の夏美の元へ。そこで「友達になろう」と謎の宣言をする。そしてタイガースに戸川のライバル、ナガノが入団する。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(6)

リハビリをサボるようになった高橋は訪ねてきた母に「死ね」と暴言を吐く。その言葉から母親は倒れてしまう。離婚以来、久々に対面した父とも8年という年月で変わってしまい今や売れない陶芸家になっていた。ドクターの計らいで父の家に外泊することになった高橋にとって、2人だけで過ごす時間はいろんな意味で重いものとなった。やっとバイトが決まった野宮は飲み会の席で「今を生きることにした」と発言。無気力だったバイト仲間が変わっていくキッカケになる。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(7)

キャプテン金子に誘われて渋々タイガースの練習を見に来た元暴走族の少年・水島亮だったが、見てるうちに車いすバスケに惹かれる自分がいた。そして早朝練習で弱点のアウトサイドからのシュートを特訓した戸川を始め、それぞれの秘めた思いを胸に、大一番のドリームスとの試合にのぞむ新生タイガース。彼らは一歩も譲らない好勝負を演じ、最終Qまでもつれる展開に。また高校中退して以来、どんなバイトも長続きしなかった野宮が、やっとやる気を出した引越屋が倒産。むしゃくしゃした野宮は、公園でケンカをする始末…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(8)

惜しくも敗れたタイガースだがチームは着実に成長していた。その姿を見て勇気をもらった野宮は長野まで車を走らせた。なぜだか夏美の前で恥も外聞もなく号泣する野宮。夏美はビックリしながらも「どうせ泣くなら、やりたいことやれば」と一言。自身も漫画家への夢を語った。一方、しばらくリハビリをサボっていた高橋。父と向き合ったことで前向きになり、サボっていたリハビリにも取り組むようになった。同室にプロレスラー白鳥も入ってきて、気分一新。高橋は果たして床トランスを成功することができるのか? 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(9)

リハビリも少しずつ進み、花咲、白鳥と関わることで等身大の自分を受け入れつつある高橋。とは言え自分より状態が軽い白鳥の「目標は3か月で歩く」という発言に動揺を隠せないでいた。夏美に言われた一言で目が覚めた野宮。プロバスケチームのトライアウトを受けることを決め、西高時代の先輩・山路を訪ね実戦感覚を養うことに。さらには受験するライトニングスの田中ヘッドコーチをストーキング。ポイントガードの安西の愚痴をこぼす姿にトライアウト合格へのヒントを掴んだが…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(10)

トライアウト直前、野宮は元バイト仲間と飲み会で盛り上がっていた。バンドマン今井を始め今まで無気力だったかつての仲間たちの変わりように嬉しくも刺激を受けていた。彼らやタイガースの仲間にも背中を押され、さらには西高の卒業式に変装して登壇。在校生を前に「オレはプロになる」と宣言し、野宮なりのケジメをつけて当日を迎えていた。その頃、戸川は覚悟を決め、年に一度の定期健診を受けるために病院に来ていた。また高橋は本格的な車いすバスケを目の前にする…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(11)

東京ライトニングスのトライアウトがいよいよ始まった。野宮にとって大事すぎる一日だったが気合が空回り。路上で寝てしまい、さらには財布も盗まれるという有り得ない展開に。ここはトライアウト仲間・秀島の助けでどうにかこうにか受験できるようになり、何とか乗り切った。テスト会場では、かつて憧れていた成瀬の姿もあり、レベルの高さと併せてプロの厳しさを感じていた。しかし最後のイスに滑り込み奇跡的に最終選考に残った野宮、更なる奇跡を起こすことが出来たのか? 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(12)

かつてアメリカをパラリンピック金メダルに導いたコーチが指導してくれるというAキャンプ。変わりたい…という目標を持って戸川、リョウ、安積が参加する。とはいえ蓋を開けてみたら個の力の向上を第一に考えていた戸川にとっては「仲間」「エンジョイ」というワードは煩わしいだけ。案の定、チームメイトと衝突して初日をまっとうすることなく出て行ってしまう。ところがコーチの一人、ラリーと向かった秋葉原で思わぬ人からのメッセージ。涙した戸川は、もう一度コートに戻って行った。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(13)

ついに始まったスコーピオン白鳥の復帰戦。後楽園ホールは復帰を心待ちにしていた観客の熱気でボルテージMAX。もちろん高橋、花咲も応援に来ていた。タッグマッチながら対するは、同期入門でかつてはタッグパートナーとして共に戦った長年のライバル、松坂マンバ。例えるなら太陽と月のような関係の2人、闘いの中でお互いに当時の思い出が走馬灯のように蘇っていた。ヒートアップしていく闘いを固唾を飲んで見守る高橋と花咲。そんな中、松坂の必殺技が白鳥へと放たれた…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(14)

スコーピオン白鳥の闘いに心動かされ、高橋はついに強豪の調布ドリームスに入団、車いすバスケを始めることに。バスケ経験者とはいえ、車いすバスケに関しては初心者の高橋。個の力をつけるべく原先生に特訓を頼んだ。またオオルリ杯に優勝したタイガースはジャパンオープンに繰り上げ出場が決まり、ライバルのドリームスと再戦するチャンスにようやくチームの士気も上がってきた。そんな中、戸川は連絡が途絶えていた親友の山内から携帯に「話がしたい」とメールが入り…。 【デジタル版では紙版未収録のカラーイラストを特別収録】

リアル(15)

親友の山内からの嬉しい知らせにヤル気MAXでジャパンオープンにのぞんだ戸川だったが全国ベスト4のウォリアーズに完敗してしまう。そのウォリアーズに勝ったのは、なんとタイガースの宿敵ドリームス。やはりというかチームに不協和音が生じてしまう。また野宮は会場で久しぶりに再会した高橋に「太りすぎだ」と揶揄され、その悔しさから公園でケンカ騒ぎ。ついには警察に捕まってしまう。一方、順調に見えた高橋だったが得意だったシュートが入らず、自信を失っていた…。

リアル 16巻

3人の男たちが、それぞれの今に向き合い、もがき、立ち止まり、そして前へ進む…。井上雄彦が描く等身大の現実、待望の第16巻!