あらすじ

三好軍をただひとりで撃破した正之進は、京に戻り、しのが肩に負ったケガを『白き力』で治そうとしていた。そこに現れた秀吉は、信長がまた正之進に過酷な命令を与えはしないかと心配するが、正之進は「『黒き力』は振るっても、けっして『黒き鬼』にはなりませぬ」と断言する。一方、信長の元へは无陀が現れていて…。戦国近接戦闘僧兵伝、堂々完結!!
白兵武者 1巻

1550年、安芸・厳島に、戦で焼け出された母子がやって来た。けれども食べるものがなく、母はすぐに亡くなってしまう。独りぼっちになってしまった少年・正之進。だが、親切な島の漁師・嘉平と妻・おたえに引き取られ、彼はすくすくと育っていく。5年後の弘治元年。この地方の統治者・毛利元就を倒そうとする、周防の陶晴賢(すえはるかた)の軍が島に攻めてきた。そして、嘉平とおたえは陶軍の者に殺されてしまう。言葉を失う正之進の前に、坂口征順という1人の僧が現れた…。

白兵武者 2巻

中国地方を舞台とする毛利と尼子の戦に、力道禅真仁智寺の庇護者・山名家も尼子側について参戦することになった。当主の山名祐豊は因幡の鳥取城に攻め入るにあたって、真仁智寺の白兵たちにも出陣のを要請する。だが本来、白兵たちは専守防衛を旨としており、さらに肝心の坂口大禅師も不在だった。だが、戦に駆り出されている兵のほとんどが近隣の農民であることを知った藤波禅師は…。

白兵武者 3巻

毛利と尼子との激戦の火蓋が切って落とされた。尼子軍として参戦する白兵たちは、雨のごとく降りしきる矢面で、まさに体を張って味方の百姓兵を守るのだった。正義感にあふれ民のためにのみ戦う、その体すべてが武器の如き男たち「白兵武者」。「白兵を守る」という決意を秘めて戦局を見守っていた凛姫も、敵軍の妙な動きに不安を覚え白兵たちの元に駆けつける。だが、そこに現れたのは思いもよらぬ敵であった!

白兵武者(4)

毛利と尼子の戦に、尼子側として参戦した正之進たち白兵。だが、自国・但馬の国にしか居ないと思われていた白兵が、毛利の同盟国・因幡にも存在していたため思わぬ苦戦に!しかも、因幡の白兵は、死んだはずの猪木大禅師を神と仰ぎ、鬼神衆魔界組を名乗る強者ぞろいだった。目の前で兄弟弟子を次々と殺された正之助は、我を忘れ、敵をなぎ倒していく…。

白兵武者(5)

1566年。白兵を破門され、東へ旅に出た正之進は、斉藤氏の治める美濃国にやってきた。だがこの地も織田氏との戦の最中で、目の前には累々と死体が積み重なっていた。斬られた腹から内臓があふれ、ひと思いに殺してくれと叫ぶ兵士…、生きるために残党狩りをする少年…。地獄絵のような光景を前に正之進が佇んでいると、背後から1人の騎馬武者が現れる…。

白兵武者(6)

美濃の将・竹中半兵衛を織田方の軍師に迎える命令を受けた秀吉は、正之助を護衛に半兵衛の屋敷を訪れる。戦乱の世に嫌気がさしていた半兵衛は、鬼神の如き信長に従うことを良しとしなかったが、そこで正之助が「秀吉殿に直接仕えてはどうか」と意外な提案をする。人を殺さぬ戦を望む秀吉は、正之助にとっても魅力ある人物であり、そのことを力説する正之助にとうとう半兵衛も心動かされる…。

白兵武者(7)

浅井長政のもとへ輿入れする道中で、お市が殺されてしまった。護衛を務めていた正之進は、信長の命により地獄の責め苦に遭わされるが、そこへ長政から正之進の命乞いを願う書状と一緒に、お市を殺した犯人の首が届けられた。さよが犯人だと知っていた正之進は動揺するが、目の前に置かれた首は見ず知らずの男のもので…。

白兵武者(8)

たったひとりで稲葉山城に攻め込んだ正之進。鬼と化して城兵たちをなぎ倒し、血まみれになりながらも城主の間にたどり着くと、そこにはまさに切腹しようとする斎藤龍興の姿があった。しかし正之進は1500人の兵を誰ひとり殺していないことを伝え、龍興にも放逐を促す。自らの信念を曲げることなく、城攻めを果たした正之進だが…。

白兵武者(9)

長が六角父子の立てこもる主城・観音寺城攻めをしていた同刻。安芸の鬼門山では、正之進の父・蝶野神璽弄と謎の男が鬼となった正之進を「鬼神衆」に入れようと画策中。また但馬・真仁智寺では、坂口大禅師と鶴田大禅師が、白兵の信条に反して殺戮を繰り返す正之進を止めようと密談を交していた…。

白兵武者(10)

「鬼」と化した正之進の噂が広がる中、坂口大禅師は正之進が真の「鬼神」になる前に自分の手で倒そうと動き出す。一方、京都市中の警護で疲れ切っていた正之進は、ようやく信長から休養を与えられたばかりだったが、そこに坂口大禅師から「完全武装にて大江山で待て」との手紙が届く。心の奥底に本当の気持ちをしまい込んだ正之進と坂口大禅師の壮絶なる戦い…。

白兵武者(11)

阿比という娘と小屋にいるところを、何者かの兵たちに襲われた正之進。娘を護ろうとしたそのとき、突然『黒い気』に意識を奪われ、正之進はあたり構わず兵たちに殴りかかっていく。やがて、正気を取り戻した正之進が目の当たりにしたのは、無惨に転がる死体の山と、自らの下半身にべっとりと残る射精のあとだった…。

白兵武者(12)

三好軍をただひとりで撃破した正之進は、京に戻り、しのが肩に負ったケガを『白き力』で治そうとしていた。そこに現れた秀吉は、信長がまた正之進に過酷な命令を与えはしないかと心配するが、正之進は「『黒き力』は振るっても、けっして『黒き鬼』にはなりませぬ」と断言する。一方、信長の元へは无陀が現れていて…。戦国近接戦闘僧兵伝、堂々完結!!