怖い。懐かしい。優しい。恐ろしい。山の怪談ブームの火付役である『山怪 山人が語る不思議な話』、墨絵師・五十嵐晃による待望のコミック第2弾です!! ・峻険な山へ消えた「少女たち」 ・山小屋に現れた「ナニカ」 ・十四発の弾丸を受けても死なない「白い鹿」 ・山道に突然現れた「小さな人」ほか ――――――山で起こった怪異譚15篇を収録。雲をつかむようでオチのない話だってある。それでも山人たちに連綿と語り継がれてきた「語り遺産」には誰もが耳を傾けずにはいられない。墨の濃淡で描かれた世界の先にある「怪」を味わってください。
現代版「遠野物語」というキャッチフレーズで、ベストセラーとなった「山怪」(さんかい)の漫画版。 表紙の左下にいる狸がなんともかわいらしいです。墨絵の素朴なタッチが原作の味わいを再現していて、名前も付けられてないような“得体の知れない何か”を描くにはピッタリの手法かと。(ある意味、マンガの原点回帰です) 一つ一つのエピソードは、ゾッとする怖い話もあれば、「え?ここで終わるの?」という投げっぱなしオチも多いのですが、現代に起きた話がほとんどなので、古くから語り継がれてきた民話や昔話のように完成度されていません。原初の体験談のようなものです。それだけに、より身近でリアルさを感じてしまいます…。しょせん、物語の完成度なんてものは、人の理解できる範疇の事でしかないのかもしれません。