あらすじ

昭和18年、広島の第一中学校は互いの伝統と名誉を懸けて、ことあるごとに対立していた。予科練を志願した第一中の鉄と、ライバル第二中のジャコ万は第一次試験に受かり、第二次試験の日が近づいていた。そして日本の前途への不安が国民の間に芽生え始めた頃、鉄とジャコ万は予科練の町、土浦へとやって来た。
黒い太陽 第一部 戦前篇(上)

昭和18年、広島の第一中学校は互いの伝統と名誉を懸けて、ことあるごとに対立していた。予科練を志願した第一中の鉄と、ライバル第二中のジャコ万は第一次試験に受かり、第二次試験の日が近づいていた。そして日本の前途への不安が国民の間に芽生え始めた頃、鉄とジャコ万は予科練の町、土浦へとやって来た。

黒い太陽 第一部 戦前篇(下)

昭和20年3月、沖縄では特攻隊が次々に編成され、硫黄島に群がる敵艦に突入していった。鉄は空に、ジャコ万は海に特攻隊として配置される。ジャコ万が瀬戸内海の秘密基地で見たのは、突入寸前での脱出が不可能な、乗組員の安全性を無視して攻撃効力だけを求めた人間魚雷、回天であった。

黒い太陽 第二部 戦後篇(上)

昭和21年、早春。戦後の日本は生きることに精いっぱいであった。生き延びた鉄は生きる望みを失い、戦後の開放感にも猥雑な活気にも取りの残され、瓦礫の街に死に場所を求めるかのように闇市の極道の世界に身を投じた。そして鉄が属した横浜鬼頭組は横浜全てを支配しようとしていた…。

黒い太陽 第二部 戦後篇(下)

昭和22年、警察に力がなく、極道たちに治安を頼るしかない時代。東京をも支配し始めた横浜鬼頭組と中央線沿線を縄張りとする関東連合会が対立。そして不満が溜まった国民はストを決行する。その頃、広島に戻った鉄の前に、死んだと思われていたジャコ万が現れる。それも刑事となって…。