あらすじ

悪の牙を剥いた照喜名を葬った氷室は、梓とともに山崎財閥の乗っ取りを画策。梓には山崎一族に対して氷室との結婚を宣言させ、自身は亜細亜グループから奪い取った「オメガ・香港プロジェクト」の頓挫の原因を調べるために香港へと飛んでいた。そこで氷室は頓挫の原因が黒社会からの妨害であり、日本人の殺し屋によって香港黒社会の勢力バランスが崩され、混沌とした状態であることを知る。
美悪の華(1)

誰もが認める美しき容貌、巧みな話術、絶倫の性技で、女たちを魅了する氷室聖人(ひむろ・まさと)。その美貌に加え悪魔的頭脳をも備える彼は、すべてを利用して悪の頂点へと登りつめていく――!空港で知り合った神竜組組長の娘・神林理沙を籠絡した氷室だが、理沙から金を巻き上げて神竜組を敵に回す。そして、エステ会社社長の三崎淳子に近づき寵愛を得た氷室は、淳子の娘・麗奈にも接近。麗奈の恋人として淳子の前に現れた氷室は、淳子に娘と別れる手切れ金として1億円を要求し…!?

美悪の華(2)

理沙の気持ちを利用して神竜組に入り込んだ氷室は、神竜組の内紛に乗じて北脇をそそのかし組長と若頭を殺害させ、実質的に神竜組を手中におさめる。一方、三崎淳子の命令により、氷室聖人のことを調べる悪徳刑事・田代は、10年前の事件を手がかりにして沖縄へ行き、「金城正人」という存在にたどりつく。しかし、「氷室聖人」という人物も実在し、田代は今の「氷室聖人」は整形した「金城正人」が入れ替わったものだと考えるのだが…!?

美悪の華(3)

神竜組を手に入れた氷室は、対立する辰未組をつぶすべく組長・辰未の情婦・水野真樹と手を組む。そして窮地に陥った辰未を殺害し、辰未組を飯島組に移行して神竜組の傘下に。一方、氷室に恨みを持つ理沙は、三大組織のひとつである徳田組の三代目・ジュンに取り入って復讐を計画し、飯島組へプレッシャーをかけさせる。辰未組の件におけるキーマンは氷室聖人だと考えた警視庁組織暴力対策本部長・甘粕は、田代を締め上げて神竜組潰滅を企むが…!?

美悪の華(4)

虐待と屈辱の少年時代を送った「金城正人」は、呪われた人生をやり直そうと渡米。しかし、アメリカでの氷室聖人との出会いが新たなる絶望の始まりだった。氷室の狡猾な罠によってどん底を味わった正人は、氷室を殺し、自らが「氷室聖人」として悪の華を咲かせることを決意する。悪の道を極める「氷室聖人」の原点がここに――!氷室の次なるターゲットは「アベコー」と呼ばれる代議士・阿部幸蔵。真樹を使って、アベコーをラスベガス賭博ツアーに連れ出した氷室が仕掛ける「美悪の罠」とは…!?

美悪の華(5)

アベコー代議士をロスにある悦楽の館に招いた氷室。女に溺れ、コカイン漬けになったアベコーは、カジノで五億円もの借金を作ってしまう。その肩代わりを申し出た氷室が出した条件は、徳田組を抑えることとコカインの政界流通ルートの確立だった。それにより徳田組三代目・ジュンは、組を背負っている限り氷室に手を出せなくなってしまう。怒りに燃えるジュンは三代目を降り、組とは関係の無い一個人として氷室を拉致。ふたりは素手でのタイマンを始めるのだが…!?

美悪の華(6)

再び麗奈と付き合いだした聖人の目的は、麗奈が通う名門お嬢様大学にいる良家の子女たちと近づくことだった。そして、聖人は麗奈との交際を知り激高した三崎淳子を徳田組に始末させ、ミサキ・ビューティセンターを乗っ取る。しかし、甘粕は強引なやり方で、聖人を三崎淳子殺しの殺人教唆容疑で連行。この状況で聖人に大きな貸しを作ろうと考えた徳田組四代目・金子は、二代目に罪を被らせて自殺を偽装。無事容疑が晴れた聖人だったが、麗奈が疑惑を感じ始め…!?

美悪の華(7)

麗奈を手に入れたことで日本の支配階級への、そして復讐の最終目的である亜細亜グループへの接近を果たした氷室。しかし氷室への疑念が晴れない麗奈は、甘粕のもとを訪れ、全てを明らかにするため協力することを誓う。着々と氷室を追い詰めようとする甘粕だったが、氷室は甘粕の弱点である妻・美智子を籠絡し、コカイン漬けにすることで甘粕の先手を打っていたのだった。互いの様々な思惑が交差する中、氷室と麗奈は結婚式のためアメリカへと旅立つ。甘粕からスパイとしての仕事を頼まれていた麗奈は、マフィアとの関係、コカイン、悦楽の館での出来事等々今まで知らなかった氷室の恐ろしい正体を知り…!?

美悪の華(8)

麗奈が甘粕と繋がっていたと知った氷室は、麗奈をB・D・Sの倉庫へと連れて行き、全てを吐かせようと尋問、自らの全てを暴露することで揺さぶりをかける。精神的に追い詰められた麗奈は、共に捕らえられていた甘粕の部下・藤沢を氷室に命じられるまま撃ち殺してしまい、そのショックから心のない人形状態になってしまう。呆然自失状態のまま結婚式を行う麗奈。氷室は日本からやって来た梓とともに、ある「目的」のため麗奈をグランドキャニオンへと連れて行くのだが・・・。

美悪の華(9)

麗奈の手紙からコカインがJ・D・Sの倉庫にあると踏んだ甘粕。ガサ入れを行うもコカインは見つからず、さらには駆け付けた氷室によって妻・美智子についての挑発を受けるハメになってしまう。危機を回避した氷室はコカインの供給ルートをミサキ・スパ・リゾートに移し、日本でも「悦楽の館」を実現しようとしていた。美智子がそこでコカイン漬けにされ、娼婦として働かされていると聞いた甘粕は、氷室の存在をよく思わないミサキの社員・柴田とともにミサキ・スパ・リゾートに潜入を試みる。

美悪の華(10)

妻・美智子を救うためミサキ・スパ・リゾートに潜入してきた甘粕を捕らえた氷室は、二人を無理心中に偽装して殺そうと企む。しかしその実行寸前、昏睡状態から覚めた甘粕の反撃に遭い瀕死状態に陥ってしまうことに。危機を脱した甘粕は追ってきた氷室の部下たちに追いつめられ、断崖から海に飛び込むが、その生死は判然としなかった。一方、コスモ・スタジオ・ジャパンとの正式契約を結ぼうとしていた九鬼義和は、自らの失態により契約を白紙にされ、九鬼一族から追放されてしまい…!?

美悪の華(11)

九鬼一族から追放された九鬼義和を、自殺を装って殺した氷室。次の標的は一族の次男・義信。氷室はまず義信を悦楽の館へ誘い、移籍問題で干されているアイドル・斉木ゆみを愛人にしたいという義信の願望を叶えることに。斉木ゆみのマネージャー・遠山にはゆみのカムバックを餌に信用させ、芸能界のドン・高須龍興には新レーベル設立の話をして手を組む約束をする。芸能界という舞台で暗躍する氷室は、その天才的頭脳で九鬼義信を葬るべく、さまざまな工作を仕掛けていくのだった。

美悪の華(12)

芸能界のドン・高須の悪事が収められた「闇のファイル」を手にした氷室は、神竜会を使って用済みとなった遠山を虐殺。遠山の死をニュースで知った斉木ゆみは錯乱し、その姿に動揺した九鬼義信は氷室に助けを求める。しかし、駆け付けた氷室がゆみに語ったのは、「義信はゆみを喰い物にしようとしていただけだ」という義信に対する裏切りの言葉だった。罠にはめられたと察した義信は氷室に襲いかかるが、騙されていたことに憤るゆみによって刺殺されてしまう。義信を殺し復讐を遂げた氷室は、売れない女優・山本厚子を斉木ゆみに成り代わらせ、本物の斉木ゆみをも闇に葬ってしまう。

美悪の華(13)

かつて氷室がまだ「金城正人」だった頃に唯一心を許していた良美。氷室はその良美に瓜二つの女性を街で見かけ、彼女が働くスナックに通うようになっていた。里見という名のその女性は、敬虔なクリスチャンだった。ある日、彼女に連れられて教会を訪れた氷室。そこで出会った照喜名(てるきな)神父は、中学時代の正人を暴力で脅し、金を巻き上げ、恋人の早智江をレイプして自殺に追い込んだ照喜名洋広だった。氷室は里美と信徒達の前で照喜名の化けの皮を剥がすことを決意する。

美悪の華(14)

照喜名神父が、中学時代の正人を虐待し恋人を自殺に追いやったこと、そして信徒のために殺人をしたであろうことを里美に告げた氷室。しかし、照喜名を慕う里見は苦悩の末に氷室の前から姿を消してしまう。一方、氷室が金城正人だと考えた照喜名は、氷室を狙う謎の男を呼び出し「氷室聖人は恐らく金城正人である」という情報を男に伝えていた。それを受けて氷室の過去を暴くべく沖縄へと飛ぶ謎の男…。氷室、照喜名、謎の男…過去を巡る因縁が行き着く先は――!?

美悪の華(15)

悪の牙を剥いた照喜名を葬った氷室は、梓とともに山崎財閥の乗っ取りを画策。梓には山崎一族に対して氷室との結婚を宣言させ、自身は亜細亜グループから奪い取った「オメガ・香港プロジェクト」の頓挫の原因を調べるために香港へと飛んでいた。そこで氷室は頓挫の原因が黒社会からの妨害であり、日本人の殺し屋によって香港黒社会の勢力バランスが崩され、混沌とした状態であることを知る。

美悪の華(16)

日本から徳田組の金子を呼び寄せた氷室は、金子のツテで香港黒社会組織「13K」の人間と会うことに。しかし、金子は何者かに惨殺され、現場には「次は貴様の番だ」というメッセージが残されていた。金子を殺した人物を特定できず焦る氷室だったが、「13K」の胡承恩と会い、香港黒社会のすべてを13Kに渡すことを、そしてそのために三海幇のボス・銭を殺すことを約束する。銭のいる夜総会に乗り込んだ氷室だが、目の前で敵対組織である紅龍幇の襲撃が始まり、三海幇が雇った日本人の殺し屋が甘粕政臣であったことを知る――!甘粕に銃口を向けられ絶体絶命の氷室は…!?

美悪の華(17)

オメガランドの香港進出を断念させるため、黒社会を抗争状態にして治安を悪化させたい氷室は、三海幇のボス・銭と紅龍幇のボス・楊を殺害を計画。そこへ、宿敵・甘粕から「銭は黄金海岸の別荘にいる、殺すなら明日の8時がチャンスだ」という情報がもたらされる。甘粕の罠かもしれないと訝りながらも別荘へと乗り込んだ氷室と楊の前には、すでに殺された銭の姿が!驚く二人の前に現れた甘粕は銃を乱射し、楊をも殺害。間一髪逃げたものの、2階から飛び降りて足を痛めてしまった氷室の目の前には、殺意に満ちた甘粕が…!?

美悪の華(18)

梓と婚約し山崎財閥の一員となった氷室は、カジノを合法化、さらには沖縄にラスベガスのような都市を造り、大人も子供も楽しめるリゾート・アイランドを造成することを計画。それらが実現すれば亜細亜グループは存亡の危機に陥る事になる。「なぜ氷室は九鬼グループを狙うのか?」その問いに答えるため九鬼一族のもとにやってきた甘粕は、氷室が「金城正人」であり、すべては九鬼一族への復讐なのだということを教示する…。氷室、九鬼一族、そして甘粕の戦いは壮絶なクライマックスを迎える!!