ごみ屑同然に差別されている身で、流民のエリヤは金に困り、行きずりの男に身を託した。乱暴され行き倒れたところを、類稀なる美貌の貴公子ライオネルに救われる。生まれて初めて優しくされて、エリヤは彼に秘めた思いを抱くが、やがて屋敷の人間に秘密を暴露され、ライオネルにその汚れた素性を知られてしまうのだった。自分の気持ちすら迷惑なだけと知って絶望のあまり逃げ出し、さまようエリヤ。そして愛は、深淵の狭間におちてゆく……。
イスリル国の神子選定の場で、偽物と発覚し処刑されそうになったところを王に助けられたイリリアは、何故かそのまま王の伴侶の神子に選ばれる。イリリアは悲惨な状況から救ってくれた命の恩人だと王を無邪気に慕うが、敵が多く人を信じない王は、イリリアを利用できる駒としか考えていなかった。けれど、それでも役に立てるならと王を想い続けるイリリアの健気な姿に、次第に王も心を開くようになっていく。ところがある日、イリリアは、国で異端とされる呪術で王を誑かしたという疑いをかけられ!?
“エリィは、おれの好きな人。でもエリィが好きなのは別の人。おれは身代わり” 記憶障害を持つルースは、忘れないようにそれを手帳に記した。研究所所長のエリィにとって、一時間程度しか記憶が保てないルースは、都合の良い存在なのだ。だからエリィは、去った養い子に似た容姿のルースを気まぐれに所長室に呼びつけ、身代わりに抱く。一方的で身勝手だけど、あなたが好き――。切なくも愛おしい恋物語。
幼いころから憧れていた、グレイに会いたい一心で彼の元にやってきたショア。男らしく精悍なグレイは、想像以上の優しさでショアを迎えてくれる。しかしある日、ショアは出身を偽ったことでグレイを騙したと誤解され、彼に冷たく突き放されてしまう…。だけど、どんなに嫌われても、好きな気持ちは変わらない―――。けなげなショアに訪れた最初で最後の恋の行方は…?
【特別版/書籍発売時、一部書店用に書き下ろされた番外編を追加収録!】グレイル・ラドウィックの愛と忠誠を、この僕に!ローレンシア王国の一粒種・エリュシオンは、蝶よ花よと育てられ、我が儘を我が儘だと思わず生きてきた。そんな王子に唯一靡かなかったのは、護衛騎士グレイル。エリュシオンは運命が変わるという魔法の水鏡に、グレイルのことを密かに願う。その時、世界は一変した。偽王子の烙印を押され、凋落したエリュシオンはグレイルの下僕となる。シオンと呼び捨てられ、一から育てなおすかのように接せられるうちに、シオンの中で捨てられずにいた気持ちが溢れてくるが――!?
神来山の神獣・珀焔の伴侶になったソラは、胡狼の襲撃事件によって身体と心に深い傷を負っていた。そんなソラを珀焔は優しく労り、大事にしてくれる。だが、以前のように乱暴に抱かれたい……淫らな欲望がソラを襲う。その欲望は、ある日現実となった。珀焔の姿をした別の輩に捕らわれ、触手のようなもので嬲られるうちに身体は快楽を得てしまい!?大人気けもみみBL『空の涙、獣の蜜』書き下ろし短編、ついに電子書籍に登場!
山の主の人身御供にされたソラは、巨大な白虎と黒豹に組み伏せられ、凌辱されてしまう。白虎の珀焔(ハクエン)、黒豹の黛嵐(タイラン)はソラの精を得て人型になるため、交替で彼らに抱かれることに。神獣達から求められ、次第に変化していくソラの身体。だが心は何故か、優しい黛嵐ではなく、自分に冷たい珀焔に傾いていた。ある日、敵対する胡狼(ジャッカル)と戦い傷ついた珀焔を治療するため、二人は宝剣に戻ってしまう。その留守を守っていたソラは胡狼達に捕らわれて――。
高校生の苑宮春夏は、ある日突然異世界にトリップしてしまう。なんでも、アヴァロニス王国というところから、神子に選ばれ召喚されてしまったのだ。至れり尽くせりだが軟禁状態で暮らすことを余儀なくされ、自分の巻き添えで一緒にトリップした友人の秋人とも離ればなれになり、不安を抱えながらも徐々に順応する春夏。そんななか、神子として四人の王候補から次代の王を選ぶのが神子の役目と告げられる。王を選ぶには全員と性交渉をし、さらには王国の守護神である白き竜蛇にもその身を捧げなければならないと言われ…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
身体に醜い痣をもつ少年・紫乃は、老犬・シロと狩りの最中に傷ついた戦装束の青年を救う。人と交流を持たず、山で一人、暮らしていた紫乃にとって、誰かが近くにいることが何よりも嬉しかった。夢でうなされ苦しむ青年を、必死に看病する紫乃。しかし、目覚めた青年は、紫乃の顔の痣を見て『化け物』と罵る。青年の残酷な言葉に深く傷ついた紫乃は、それでも献身的につくすのだったが――。
黒髪黒瞳で普通の見た目である高校生の鈴木秋人は、金髪碧眼で美少年な友人の苑宮春夏と学校へ行く途中、突然穴に落ちてしまった春夏を助けようとし――なんと二人一緒に、異世界・アヴァロニス王国にトリップしてしまう。どうやら秋人は、王国の神子として召還された春夏の巻き添えとなった形だが、こちらの世界では、黒髪黒瞳の外見は『災厄の導き手』と忌み嫌われ見つかると殺されてしまう存在だった。そんな事情から、唯一自分の存在を認めてくれた、王国で4人いる王候補の一人であるレンドルフに匿われていた秋人だったが、あるとき何者かに攫われ…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。