恋人が突然姿を消して1年。未だ彼のことを忘れられずにいるアヤの元に、人捜しをしているという美しい青年が訪れた。しかし、その場に突っ込んできた車からアヤを庇った青年は記憶障害になり、自分の名前さえも分からなくなってしまう。帰る場所もない青年と記憶が戻るまでのあいだ同居する事になったアヤは、迷惑がるものの久しぶりに感じる他人の温度に知らず知らずのうちに癒されていて――。
ぼくは、恋人を壊すことにした。高校生の北林掌には悩みがあった。それは、幼少期から自分の中に眠る何かを壊したいという突発的な”破壊衝動”。そんな自分を恐れ、このままでは人生を台無しにしてしまうと思った掌は、一度だけその願望を満たすことを決意する。そんな時に、偶然入った町の古びた文具屋。年上で物腰の柔らかい店主の蛍二郎に出会い、掌は決める。「――こいつにしよう」と。