著者の体験をもとに、強く明るく生きる少年・中岡元の姿を通して、原爆の恐ろしさ、命の尊さ、そして平和への強い願いが込められた名作。
戦中戦後の広島を舞台に、たくましく生きる少年たちを描いた名作漫画が、電子版で登場! 敗戦まぢかのヒロシマの町、食糧難でうえる子どもたち。人々は疲弊していた。下駄の絵付けで生計をたてる中岡家は貧しくとも、国民学校2年生のゲンたち兄弟は元気に育っていたが、戦争に批判的な父の言動から、近所からは疎外されていた。そして、ついに「あの日」がやってきた……。
亡き母に純金の墓をたてるために奮闘する少年・岩太(がんた)の活躍を描いたアクションコメディ。お金に苦労して死んだ母に純金の墓をたてようと“スナックげんこつ”を切り盛りする少年・岩太は、ある日、出したトーストを穴だらけにした客・川村(かわむら)に腹を立てる。そして店にいた浪人生・新介(しんすけ)は、そのトーストに点字で「私と息子がサン工業で殺される」と書かれているのに気づいて……!?
本作品は、戦争によって命が奪われていく現実と原爆被爆の作者自身の壮絶な体験を、その本当の姿を伝えたいという想いから、作者が全力を振り絞って描いた魂の作品です。<あらすじ>太平洋戦争…だんだんと日本の敗戦の色が濃くなる中、戦争反対を唱えていたゲンの父は「非国民」とよばれ、官憲に捕らえられます。平和を望みながらも、戦争のため野草やイナゴをとって糧にするような苦しい生活を強いられ、それでもささやかな幸せをつむいで暮らしていた人々。その頭上に、原子爆弾は落とされました。1945年8月、広島。一瞬のうちに白い光があたりを包み込みその後、広島の街でゲンが見た光景は、まるで地獄のようでした。すべてを焼き尽くされ、父、姉、弟を失ったゲンは、その焼け野原の中で父の言葉を心に刻みつけるのでした。
「はだしのゲン」に結実した、中沢啓治初期の傑作完全版。市井の人々の悲しみや怒りが描き込まれ、戦争や原爆を伝えるには最良の作品集です。この短編シリーズがなければ「はだしのゲン」は生まれなかった!東京で漫画家となった中沢啓治は、母の死で帰省する。そのとき火葬された母の骨は一切残らずショックを受けた。原爆への激しい怒りと悲しみに打ちひしがれながら東京へ戻ったその足で、一気に表題の「黒い雨にうたれて」を描き上げる。様々な版元へ持ち込むものの、政治色の強い作品はなかなか掲載誌が決まらなかったが、ようやく漫画バンチに掲載されたところ、反響が大きく黒いシリーズとして連載される。
作品完成から30余年を経た今でも、日本のみならず世界20カ国以上で読み継がれる、反戦マンガの決定版。ヒロシマに投下された原子爆弾による自らの被爆体験をもとに、著者・中沢啓治が、原爆の恐ろしさ、命の尊さ、そして平和への強い願いを込めて描いた著者代表作。「週刊少年ジャンプ」で1973年6月から連載が開始された後、「市民」「文化評論」「教育評論」などの雑誌に、約15年にわたって連載され、1987年2月に連載が終了した。
広島で誕生したプロ野球球団「広島カープ」を応援する人々の情熱を描いたスポーツヒューマンドラマ。野球大好きな原爆孤児・大地進は、仲間達と野球チーム「ラッキーズ」を結成し、進駐軍との野球勝負に勝つ事で生計を立てていた。そしてプロ野球公式戦を初めて観戦した進は、プロ野球の迫力にすっかり魅了される。その後、新聞記者の息子・青野から、広島にプロ野球チームができると聞いた進たちは歓喜に沸く。
「はだしのゲン」に結実した、中沢啓治初期の傑作短編集。市井の人々の悲しみや怒りが描き込まれ、戦争や原爆を伝えるには最良の作品集です。この短編シリーズがなければ「はだしのゲン」は生まれなかった! 東京で漫画家となった中沢啓治は、母の死で帰省する。そのとき火葬された母の骨は一切残らずショックを受けた。原爆への激しい怒りと悲しみに打ちひしがれながら東京へ戻ったその足で、一気に表題の「黒い雨にうたれて」を描き上げる。様々な版元へ持ち込むものの、政治色の強い作品はなかなか掲載誌が決まらなかったが、ようやく漫画バンチに掲載されたところ、反響が大きく黒いシリーズとして連載される。同作他8編の、若かりし著者の熱い想いが伝わる貴重な傑作短編集。
戦争の本質を暴き、平和の尊さを考える。まだアメリカ占領下の沖縄。ベトナム戦争が激しくなり、米軍基地からB52爆撃機が飛び立っていった。闘牛に熱を上げる父、グレて夢のない日々を送る息子。ある日、母は酒に酔った米兵のトラックにひき殺されてしまう。必死に米軍の責任を追及する息子は、沖縄の過去と現在に激しい怒りをおぼえてゆく。他短編全4本収録。
平和と生命の尊さを訴えつづける作者の、選び抜かれた珠玉の作品集。子どもたちの明るくたくましく生きる姿をとおして、人間の優しさと勇気、ヒューマンな心を高らかに謳う愛と感動のシリーズ。万引き、喫煙など非行に走る進。恋人に婚約を破棄された長女の英子。その裏には何が隠されていたのか?
昭和19年、ラバウル基地へ食糧や物質を届けるための輸送船団は海底のもずくと消え去った。もはや飛行機もなく物資も乏しいラバウル基地で、虎田はあきらめずに頑張っていた。ある日虎田が撃ち落した飛行機のパイロットを助けることになってしまい…中沢啓治、幻の単行本未収録原稿が登場!!
心優しい少年・ガン太(がんた)とその親友・デン吉(でんきち)が、捨てられていた象を助けるために奮闘する姿を描いた人情ドラマ。看板屋で働くガン太は、ドジばかりで社長に叱られる毎日だったが、不良少年になってしまった親友・デン吉の事を気にかける。そんなある日、夢の島へ集金に行ったガン太は、帰る途中で大事なお金を強盗に奪われて途方に暮れていると、そこで捨てられていた病気の象を発見して……!?
異国の地・アメリカで、互いを助け合って必死に生きていく兄弟の姿を感動的に描いた表題作と他2作品を収録した中沢啓治の傑作短編集。アメリカで日本猿だとバカにする白人と喧嘩ばかりの日々を送る兄・守(まもる)は、弟・真二(しんじ)がピアノを買うために貯めていたお金を使い果たす。そして真二に激昂されて部屋を出て行った守は、その後にした喧嘩で、片目のジャックにボクシングの才能を見出されて……!?
失敗ばかりしているドジな少年・竜吉(たつきち)が、“悪太郎”と名乗る不良青年との出会いで一人前のラーメン屋に成長していく表題作と他3作品を収録した中沢啓治の傑作短編集。ラーメン屋で修業中の竜吉は、何をやっても失敗ばかりで親方に叱られる日々を送っていた。そんなある日、悪太郎と名乗る青年のせいで親方の店から追放されてしまった竜吉は、電車に飛び込んで死のうとするのだが……!?
野球好きな少年・隆二(りゅうじ)と勇作(ゆうさく)の厚い友情を描いた表題作と他4作品を収録した中沢啓治の傑作短編集。ともに両親を亡くして恵まれない生活を送る野球少年・隆二と勇作は、互いに励まし合いながらプロ野球選手を目指す。そして5年後、高校野球で注目された隆二は、勇作も入団させるという条件でアイアンズに入団するのだが、練習中に折れた勇作のバットが突き刺さって左足を切断する事に……!?
グズで泣き虫な少年・グズ六こと大西六郎(おおにし・ろくろう)と相棒の馬・ゴン太(ごんた)の活躍を描いた人情ドラマ。北海道で祖父と暮らすグズ六は、何をやっても失敗ばかりで悪ガキ達にからかわれていた。そんなある日、狂暴な熊に襲われて命を落とした祖父から、その死の直前に九州で母親・柳子(りゅうこ)が生きていると知らされたグズ六は、相棒の馬・ゴン太とともに九州を目指して旅に出るのだが……!?
心優しきお好み焼き屋・ハちゃんこと八五郎(はちごろう)とワガママな少女・美恵(みえ)の人情ドラマを描いた表題作と他3作品を収録した中沢啓治の傑作短編集。子供達に無料でお好み焼きをごちそうする、お人好しなお好み焼き屋・ハちゃんを訪ねてきた足が不自由な少女・美恵。かつて左官屋で働いた時、美恵にケガをさせてしまったハちゃんは、美恵の足が不自由なのは自分のせいだと思い、金をせびる美恵に尽くすのだが……!?
東京は下町、庶民の生活の香りを残した街も開発の波が押し寄せてきた。そこにお金を積んでも、テコでも動かない初老の男がいた。一夜にして十万人以上の生命を奪った東京大空襲で家族の全てを失くしていた男は、家の下で焼き殺された肉親と別れることができなかった。
“電車バカ”と呼ばれている都電の運転手善さん。ある日運転中に、グレた少年実をひきそうになります。実にかつての息子の面影を見た善さんは、自分の家に連れ帰るのですが…。善さんは、広島で被爆し、その爪跡は善さんを不治の病、白血病で死なせてしまう。
アメリカ占領下の沖縄。闘牛に熱を上げる父、夢のない日々を送る息子。ある日、母は米軍トラックにひき殺されてしまう。必死に米軍の責任を追求する息子は、沖縄の過去と現在に激しい怒りをおぼえてゆく。他短編「冥土からの招待」「うじ虫の歌」収録。
二十数年ぶりに被爆以来はじめて、広島に里帰りした父と子。原爆の閃光にも耐えて生き続けるユーカリの木を捜しあてた父は、これまで誰にも語ったことのない、少年時代の思い出を我が子に語り聞かせる。ユーカリは、原爆から逃げ続けてきた父を勇気づけるのだった。他短編「チエと段平」収録。
受験戦争のなかで、“落ちこぼれ”、非行に走る弟の進。ある日突然、婚約を解消された姉の英子。被爆したことを隠しとおしてきた父。被爆者としての、被爆二世としての苦悩を背負った一家が、その悲しみと苦しみをのりこえて生きる姿を、感銘深く描く。他短編「赤とんぼ」収録。
三十七年前の広島、まわりを山に囲まれ、市内には幾筋もの川が流れる美しい町だった。当時小学校一年生の中沢啓治は見た、八月六日の朝、すさまじい原爆の熱線とそこに繰り広げられた地獄絵巻を。収録5編「おれは見た」「永遠のアンカー」「出発の歌」「拍子木の歌」「いいタマ一本」