人魚姫のお話、おしまい。――ねぇ、どうして王子様は自分を助けた人を間違えたの? ■クルーズ船専門の旅行代理店社員・北村美由紀(みゆき)は、社長の門倉浩一郎と恋人関係にあったが、二人の気持ちには微妙なすれ違いが生じつつあった。そんな折、営業成績ナンバーワンの美由紀は浩一郎とともに、アドリア海のクルーズ船視察に出かける。ところが乗船した人気クルーズ船で、思いもかけない火災事故が発生。海に転落した浩一郎を助けようと、美由紀も海に飛び込んで必死に救出したが、助けたのは船に乗り込んでいた浩一郎の幼馴染の女性(恭子)ということに話はすり替えられていた。そして、帰国後に浩一郎と恭子は結婚。失意の美由紀は、視察旅行中に再会したファビオにスカウトされ、クルーズ船会社に転職して再起をめざした…。
あの日から10年の歳月が流れ、二人の「誓い」は成就するのか。■産休代替教員として故郷の町に戻ってきた莉子(りこ)は、赴任先の私立聖桜高校の初出勤日に、授業を受け持つ三年のクラスで久遠(くおん)と再会する。「く、くぅちゃん?」「り、莉子ちゃん……?」。二人は小学生のとき、集団登校の列にトラックが突っ込むという大事故に遭遇、6年生の莉子は2年生の久遠を庇い大怪我を負ってしまったのだった。その久遠はいまや「高校生社長」として、IT企業を立ち上げ地元の有名人となっていた。しかし、再会した二人の前に立ちはだかった人物の策略によって、莉子は思いもかけないスキャンダラスな事件に巻き込まれ窮地に立たされる。
就活全敗女子と負け犬ハリウッドスターの“運命の愛”■私が彼を忘れられないのは、きっと彼が自分にとって初めての男性だったからだろう。誰にも知られたくない秘密を、彼と共有したあの夜──自分の中でずっと眠っていた女を目覚めさせたのは、彼の唇、舌、そして指先だった。誰にも触れさせたことのない場所を、初めて味わった男も彼だった。彼を体内で感じたあの瞬間、私は大人の女になった。彼が私の中で果てた時、このまま死んでも構わないと感じた。そして二人の間に生まれた情熱は、やがて小さな実りを残し永遠になった。