音大生の柴崎ヒカルは、伝説のジャズ・ピアニストと呼ばれるシンジョウに強い憧れを抱いていた。ある夜、〈レジェンド〉というバーを訪れたヒカルは、オーナーの新条哲也が探し求めていたシンジョウと知る。シンジョウの生演奏を聴いてみたい一心から、〈レジェンド〉でアルバイトを始めたヒカルだが、なぜか新条はピアノを頑なに弾こうとしなかった。
〈手〉の彫刻を創り続けてきた西浦亮は、画廊を経営する宮坂に出会った。彼に理想の〈手〉を見いだし、触れ合い、身体を重ねながらも、やがて亮は、宮坂のすべてを求めている自分に気づき始めるのだが……。一方、宮坂もまた、彫刻家とオーナー、そしてモデルという関係を変えられないまま、湧き上がる気持ちを伝えられずにいた。2人の擦れ違う想いを、せつなく描いたラブ・ストーリー!!
テーブルに置かれた花束が甘い香りを放ち、部屋は少しずつ芳香に満たされていく。雨の音を聞きながら、トオルが口を開くのをじっと待っていた飯島は、聞き逃してしまいそうなほど小さな声を耳にし、思わず顔を向けた。「僕のこと好きだっていうのはホント?」「ほんとうのことだよ……」――エリート社長秘書が、デザイナーの卵に一目惚れ。難題山積の恋の行方は?