考古学研究部に所属する市東空は、学園祭の出し物で、劇のヒロイン役に選ばれてしまう。相手役は、“学園のプリンス”天王寺甲斐。友達以上恋人未満な甲斐との関係を悩む空のもとに、ある日、劇の上演中止を求める一通の脅迫文が送られてきた。だが、手紙を見せられた甲斐は、なぜか口を閉ざしたままで――。そして、花屋を営む空の兄・陸の前からは、最愛の人物が姿を消してしまった!
「先生、そういう顔をね、初対面の、ましてや俺みたいな男の前でしちゃ駄目ですよ」草介は、まるで怒ったような厳しい表情で真生のことを見つめて言った。「葛城さ……!」彼の名を呼ぼうとした真生は、それを思いもよらない方法で強引に遮られてしまい――。葛城草介はゲーム・クリエーターとしての新たな仕事の取材のため、小学生の甥っ子に、担任教師の椎名真生を紹介されるのだが……。
俳優養成所を卒業したばかりの深津朔也のもとに、映画出演の話が舞い込んだ。かねてからファンであった、若手映画監督の作品に出られると知り、驚きを隠せない朔也だが、監督から思わぬ条件を突きつけられてしまう。それは、舞台俳優・大槻冬司を、同じ映画へ出演するよう口説き落とすというものだった。大槻との出会いを重ねるうちに、なぜか朔也には幼い頃の記憶が蘇ってきて……。
金光が、ホストクラブでアルバイトをする傍ら、恋人である由貴の勤める柊探偵事務所で働き始めて半年。彼らのもとに、大きな事件の依頼が舞い込んできた。やがて二人は、時代錯誤の『怪盗』を追うことになったのだが……。「あんた、ずっと俺のこと騙してたのか?」金光の前に、思わぬ人物の裏切りと過去が明らかになる。
久我山由貴は、数年前まで将来を嘱望された本庁勤務の刑事だった。しかし、ある事件で記憶を失い、刑事を辞め、現在、友人の探偵事務所を手伝っていた。やがて記憶を取り戻した由貴は、それまでも運命的な出会いを繰り返してきた、大学生の金光と恋愛関係になっていった。その金光が最近、隠し事をしているのが由貴には気になって仕方がない……。そんな折、事務所に思わぬ依頼人が現れ……。
星宮学園に突然現れた名門女子校のお嬢様。彼女が甲斐の婚約者だと知ってから、空は甲斐の気持ちを素直に信じることができなくなっていた。「空は、僕の反応が面白くて、からかっているだけなのか?」腹を立てたように表情を険しくした甲斐に楽々とベッドに押し倒されてしまい、空は悔しさに大きな目から涙を零した。「嫌だよ、甲斐。こんな無理やりなんて……」
このあとの丹野の台詞は、聞いてはいけないような気がした。聞いたら最後、もう二度と幸せにはなれないような予感がする。静流は無意識に耳をふさごうとしたが、無情にも間に合わなかった。「静流くんの父親は、国塚じゃないか」その瞬間静流の周りからすべてが消えた。……愛していたのだ。血のつながりがあると知った今でも、まだ国塚を愛している。なんて、なんて罪深い……!
アイドルグループ「B-ing」解散の日から2年。メンバーだった桜井若葉、高沢勇気、如月隆行、夏切葵の4人は、俳優、モデルなど、それぞれの分野で大活躍していた。だが若葉は解散以来、それまで仲のよかった勇気をかたくななまでに避けるようになった。理由はわからない。その二人が映画の製作発表で強引に再会させられて……。待望の芸能界シリーズ、さっそうと開始!
4年前まで警視庁に勤務する刑事だった柊慶二郎は、従業員2名の小さな探偵事務所で所長を務めている。道楽家業の事務所には、普段あまり仕事が来ることはなかったのだが、珍しく慶二郎自身を指名する依頼が入ってきた。内容は、ストーカー行為を受けている人気男性モデルの身辺警護。自らそれをこなすことになった慶二郎は、彼の高飛車な態度に我慢ができず……。
フリーカメラマンの国塚香は、かつて一度だけ写真集のモデルをつとめた、真田静流と共に暮らしていた。親子ほど年の離れた静流のことを、愛しく思いながら、けして束縛しようとしない国塚。――俺のほうがあんたを強く思ってるのに。自分の気持ちを素直に口に出せない性格の静流は、そのことで葛藤する毎日を送っていた。そんなある日、撮影のために訪れた夜の公園で、国塚が事件に遭遇してしまい……。
高校に入学した市東空は、6年前に両親を亡くしてから兄の陸と2人暮らしをしていた。憧れの考古学研究部に入った空は、思わぬところで“学園のプリンス”天王寺甲斐に出会い、すっかり気に入られてしまう。一方、地上げ屋の嫌がらせに悩む陸は、大企業の息子である上条義隆のもとへ助けを求めに出向くのだが……!?空と陸、整理のつかないそれぞれの想いが、やがて“場違いな恋”に生まれ変わる。
静流は、カメラマンの国塚とともに、映画「月光の夜想曲」のイメージ写真集を撮影するため、北海道を訪れていた。写真集のモデルは、映画の主役を演じた桜井若葉と高沢勇気。だが、順調に進んでいたはずの撮影期間中、静流やスタッフの目の前で、若葉が突然倒れてしまった!勇気と若葉、二人の出会いから9年。若葉の過去との対面が、目前に迫っていた――。
銀座の高級クラブで人気ホストとして働くトオルとカナメ。トオルとの運命的な出会い以来、カナメは自分がいつ見限られてもおかしくない不安定な存在だと気づきながらも、10年近く特別な関係を続けてきた。――トオルにとって、俺は彼を取り巻く大勢の中の一人でしかない。報われない想いに決着をつけたいカナメ。“裏の仕事”を前に二人のあいだに溝が生まれ……。
おまえのすべてを……知りたいんだ。――両親亡き後、高校生の弟と二人きりで過ごしてきた市東陸は、恋人の上条義隆との将来に不安を抱いていた。大企業の御曹司であり、親が決めた婚約者がいる義隆と、今の関係を続ける自信が持てない陸。そんな彼らの前に、かつて義隆とつき合っていたことがあるという美青年が現れた。「俺はあなたからリュウを絶対に取り戻します」陸は、義隆と青年の決定的な場面を見せつけられて……。
レンタルビデオ店で偶然出会った男は、謎かけのような言葉を口にした。なぜかその男と関係を持ってしまう佑。高校に入って間もない加賀佑は、初めて見た生徒会長の克哉をその男と勘違いするのだが、彼が男の双子の弟であることを知らされる。男とつきあいながらも、佑の心はしだいに克哉に傾いていく。ところが彼らには、佑の知らない秘密が隠されていて――。
小学校教師の城之内亮介はある秘密を抱えている。週末になると街をさまよい、一夜限りの相手を探すのだ。しかし、その晩関係を結んだのは、高校時代の同級生で、同じ学校に赴任してきたばかりの同僚・結翠だった。過去に囚われ、恋人は作らないと決めていた亮介に、情事をネタにしつこく迫る結城。彼にもまた人には言えない裏の顔が……。すれ違い傷つけ合う、不器用な大人の恋の行方は?
札幌の高校で教師を務める明智総一郎は、大雪の中、一人の男子生徒を拾ってしまった。総一郎を慕う彼は、家庭内で暴力を受け、一時的に家から飛び出してきたのだ。しかし、その傷あとに触れた瞬間、怯えたような色が彼の瞳の中に過ったのを、総一郎は訝しく思っていた。「先生になら、何をされたって平気だよ」過去の忌まわしい事件に縛られながら、彼は総一郎への思いを抑えることができず――。
平凡な高校教師・大友上総は、夜の公園で暴漢に襲われたところを、見知らぬ青年に助けられる。その青年の名は、剣出雲(つるぎいずも)。なぜか上総を『わが親愛なる王』と呼び、まるで昔から知っていたかのような態度を見せる出雲に、警戒心を覚えながらも心を惹かれていく上総だったが……。上総は古代の王の生まれ変わりなのか?時空を超える運命の歯車が今、回り始める!