母。私の半分を構成するもの。 母。私の半分が愛したもの。 いつからか母親に恋している女子高生。彼女はずっと「半分」に引き裂かれて苦しんでいる。 肉親への親愛と、どうしようもない恋情。甘えたさと性欲。肉親への恋は私には経験が無いが、彼女の苦しみには、理解できる部分がある。それは、自分の愛が相手を苦しめる事への葛藤。 娘の恋心に、母が応えることは出来ない"はず"だから。 好きでいてはいけない人を、好きでいる事の苦しみは、破局と隣り合わせの切なさ。目の前の人が、振り向いてくれる可能性はほぼゼロ。恋を口に出せば、その時が終わりかもしれない。 しかし、私にかろうじて期待を持たせるのは、母親と娘のモノローグが重なる所。 娘を想う気持ちは強い母。娘離れはできていない様子。そして過去に「女性と」何かあった事が示唆されると、母親の百合物語としても、娘の感情の根拠としても(娘曰く「私の母は毎朝性的」らしいので)何が提示されるのだろうと、先にかすかな希望が見える気がする。
百合分野で力のある作家達が、中村たいやき先生という「親子百合」分野のスペシャリティのもとに集まったアンソロジー。様々な内容の作品にはプリミティブな感情が共通して存在しています。 娘が母に抱く、お母さん・ママと呼び求める幼いままの愛着。そして母が娘に最初に抱く、小さな命を慈しむ感情。それが「恋」になるとは多くの人は思わないから「近親者となんて」と眉をひそめる。 しかし、百合好きなら皆「当たり前」なんて無いと知っている。だから普遍的な親子の情が「恋愛」に否応なくなだれ込むのも、柔軟な心で受け入れる……のかもしれません。 受け入れればそこには、強い感情と近すぎる距離感がある。背徳感も安心感も何もかもが強すぎる。私は一つひとつの物語から母を、娘を乞い、思わず呼ぶ声を聞いて胸が締め付けられるのでした。 #マンバ読書会 #いいお母さん
一瞬、あれ私は何を見ているんだっけ?……と混乱する。 中学3年生の女子が、母親にしがみ付いている。母親に恋を告げ、関係を迫り、結婚願望をぶつける彼女。しかし最後に甘えしがみ付く姿に、脳がバグる……完全に母を信頼し切った幼児の甘え方。それは恋人からは遠い。可愛いけどあれ……? 彼女は娘としての距離感を上手く利用して、スキンシップし、母親に意識させていく。近親相姦という高い壁を「近親者」の立場を利用して乗り越えようとする矛盾と軽やかさに眩暈がする。 マザコンであり恋する乙女でもある中学生(ちょっとアホ)の様々な表現が見ていて飽きないし、それに振り回されて何なら陥落しそうになる母親の慌てぶりも愛らしい。更に母方の祖母の存在も関係性に説得力を増し、もうこれは運命だな!と納得。 禁忌をかる〜く乗り越えた先にある甘い衝撃に、クラクラするのを楽しみたい!
母。私の半分を構成するもの。 母。私の半分が愛したもの。 いつからか母親に恋している女子高生。彼女はずっと「半分」に引き裂かれて苦しんでいる。 肉親への親愛と、どうしようもない恋情。甘えたさと性欲。肉親への恋は私には経験が無いが、彼女の苦しみには、理解できる部分がある。それは、自分の愛が相手を苦しめる事への葛藤。 娘の恋心に、母が応えることは出来ない"はず"だから。 好きでいてはいけない人を、好きでいる事の苦しみは、破局と隣り合わせの切なさ。目の前の人が、振り向いてくれる可能性はほぼゼロ。恋を口に出せば、その時が終わりかもしれない。 しかし、私にかろうじて期待を持たせるのは、母親と娘のモノローグが重なる所。 娘を想う気持ちは強い母。娘離れはできていない様子。そして過去に「女性と」何かあった事が示唆されると、母親の百合物語としても、娘の感情の根拠としても(娘曰く「私の母は毎朝性的」らしいので)何が提示されるのだろうと、先にかすかな希望が見える気がする。