ぼくと仁義なきおじさん

痛みを知る者の優しさ溢れるコメディ #1巻応援

ぼくと仁義なきおじさん 百世渡
兎来栄寿
兎来栄寿

あらすじと表紙、あるいは最初の1話だけを読むと、かわいいものが好きという極道のギャップを少年目線で楽しみつつツッコんで行くコメディのように思われるかもしれません。 もちろんそういった要素もあるのですが、本作は話が進むごとにどんどん新たなキャラクターが登場して来ます。少年の保護者や同級生、年上のお姉さん、極道の舎弟……そのどれもが個性溢れる良いキャラであり、キャラ同士の掛け合いが非常に良い味を出しています。 性や職業、趣味などあらゆる要素を理由に人は人を攻撃しますが、本作のメインキャラクターたちの多くは、他者から迫害された経験、その悲しみと辛みを抱いています。どんな言葉を掛けられたら痛いか知っている。だから逆に、そんなときにどんな言葉を掛けられたら嬉しいかも知っているのが本作の主人公。その優しさによって、多くの人の心を開かせる様は読んでいる方の心もぽかぽかさせます。 本当は自分も同じようなことで人から傷つけられた経験を持つのに、自分も同じようなことを人にしてしまっていることに自覚的になる瞬間なども非常に上手く描かれており、色々な人に刺さるであろう内容となっています。 しかしながら、基調としてはコメディ。笑って楽しみながらも、時折心に沁みる話が出てくるバランスが非常に良いです。 たまに古風なネタや演出も出てきながら設定的には令和感溢れるハートフルコメディとして、広くお薦めできる作品です。『ロマンティック・キラー』に続いて、こちらもぜひアニメ化などして欲しいですね。

ロマンティック・キラー

フルカラー少女マンガメタコメディという新たなジャンル

ロマンティック・キラー 百世渡
sogor25
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Q.ある日突然妖精のような魔法使いが現れて「あなたにイケメンとのラブ展開を与えるので少女マンガのような生活を送ってください、その代わり恋愛の妨げになるのであなたの好きなものは没収します」と言われたら? 主人公・杏子(ゲーム・チョコ・猫好き枯れ女子)の答え:「好きなもの没収されるならイケメンいらない!」 それを受けた魔法使いの回答:「うるせェ!ゲームもチョコも猫も全部ボッシュート!ついでに両親もボッシュート(アメリカに転勤)!」 ということで、強制的に一人暮らしが始まった杏子が好きなものを取り返すために妖精(が作り出したしたイケメンとの少女マンガ展開)と戦っていくという凄まじい設定のコメディ。 杏子も恋愛に全く興味がないという感じではないんだけど(まぁ乙女ゲーやってるし)、三大欲求(ゲーム・チョコ・猫)と比べたら重要度は段違い。一方の魔法使いも郵便局員の父親を海外転勤させるなど容赦なく魔法を使って包囲網を敷いてくる。 果たして杏子は三大欲求を取り戻すことができるのか?それともイケメンとの恋に落ちてしまうのか!? …と、冷静になるとどっちに転んでも杏子は幸せになれそうな気がしないでもないんだけど、「少女マンガ展開に必死に抵抗する」という設定が斬新で、杏子に感情移入しながら、でもつい笑ってしまいながら読み進めてしまう。 大枠で言うとラブコメになるのは間違いないんだけど、個人的にはどうしても"少女マンガ"自体をメタネタにしたコメディを狙って作ってるように見えるんだよなぁ。だって1話のサブタイトル「魔法設定なのに漢字が多いんだよっ」ですよ? 1巻まで読了