今でもデンジャーな香りがする東南アジア諸国、日本人からそう見えるのは90年代のイメージが強いからではないか。 私はいわゆる安旅行でタイの僻地やマニラなんかには行った事があるものの、物騒なのは間違いないし危ない目にも実際合う可能性はあった。といっても4〜5年前の話なので本作の当時の「錦糸町は危ない(フィリピンパブが)」という認識はもはやなかったし、描かれているほど引ったくりがいるイメージもない。 この20年ぐらいで変わったところなのかなーと思いながら読んでいた。 読了後に90%実話、というのを知りちょっと驚いているが、妙にリアルさはあったのでそういうことかと納得。 貧国の貧困層がどうやって生きていくか、その選択肢にある日本への出稼ぎという実態は、出稼ぎしてくる彼女たち本人の目にどう映っているのだろう。
実録物は数々あるが、どれだけディープな事象に出会い、 何を感じたかに作家性というか価値があると思う。 その点、今作はフィリピンでのダンサー斡旋業という 割とよく知られた稼業ではあるが、そこに深くかかわった 体験を日本人の青年の視点で描いているのが新鮮であり スリリングだと思う。絵柄も疑似4コマだが丁寧に描かれていて 読みやすい。楽しみな作品です。
話はその父親の葬式から始まる。参列してるフィリピン人もいることから、彼が悪いことだけしてた訳ではなかったんだろうなと推測するが、リベラルな日本人としてはなかなか向き合いたくない内容もありそう。特にこの話の中心となるバブル期の日本なんて碌なもんじゃない。 しかし一方で、当時のフィリピンは「アジアの病人」と呼ばれるほどの低成長だった頃。きれいごとだけではやっていけない事情もあったと思う。なぜ父親は突然家を出てフィリピンでブローカーになったのか?やがて「商品」として日本に渡る女の子と恋愛しちゃったりするのか?90%実話というのも気になる、色んな意味で楽しみな連載。
父を追ってマニラを訪れたニートの青年ユウ。時代は平成初期ということなので今から30年前くらい、出来事はすべて実話というフリで始まるのでどんな些細な描写もなんだか重みを持って見えてくるのが面白かったです。 何も持たず、さしたる目的もなくただマニラで時を過ごすユウの感覚がリアルで、4コマで淡々と進んでいくスタイルとよく合ってます。おやじさんの怪しさもいい味出ている。 終盤やばめなトラブルに巻き込まれるのですが「ここで終わり!?」ってところで終わってしまっていて、その唐突感も実話っぽいといえば実話っぽい。 ただやっぱり「何を見たか」がもっとわかる続きが読みたい!シリーズ化してくれないかな。
誰しも一度はThe Beatlesにハマったことがあると思うけれど、この主人公は中二でビートルズに出会って以来、人生全てをビートルズに捧げた『ビーマニ』の山田くん。 「捧げた」というだけあって妻も子もおらず本まで出版し、なんなら「山田会」というビートルズを語る会まで開き、ビートルズファンの間ではちょっとした権威になっている。 そんな山田くんが山田さんと呼ばれるようになる頃に、通称「レベル3※」と呼ばれるビートルズのコピーバンドに勝負を挑まれる。(※お金が取れるレベルのことらしい) 山田は「私は『ビートルズ』で負けたくないんです。絶対に!」と、人生40年間を捧げてきたプライドに懸け勝負を受けるのだが……というあらすじ。 好きなもので真正面から勝負を受ける山田くんと仲間の石田くんの情熱、1カ月間週3で練習する気概…その積み重ねがあったうえでの、当日のライブ会場での山田のセリフは胸に迫るものがあった。 「大切に思えば思うほど、畏れ多くて生半可な気持ちでそれに接することができない」というのは、誰しも共感することができるテーマだと思う。 そして最後の最後に、山田は『愛の深さゆえの畏怖』を乗り越え、新たな決意をすることができた。それは誰にでもできるような簡単なことではなくて、愛を貫き通す勇気「覚悟」を持つ人にだけできる決断だと思う。 これはもう山田でも山田くんでもなく、敬意を込めて山田さんと呼びたい。 お話の全体の雰囲気としては「綺麗な響※」のような印象を受けた(※響のようにその道しか見えない人間だが、響のようにブレーキがぶっ壊れてないの意)。 これはぜひ連載化して、山田とビートルズの出会いからコピーバンドでのし上がるまでを全部描いてほしいです。 【本編WEB掲載】 https://www.futabasha.co.jp/tachiyomi/vtreader.html?pc=1&fd=ac_be-maniyamadaLR (画像は本編より。揺るぎない山田の決意が熱い…!)
今でもデンジャーな香りがする東南アジア諸国、日本人からそう見えるのは90年代のイメージが強いからではないか。 私はいわゆる安旅行でタイの僻地やマニラなんかには行った事があるものの、物騒なのは間違いないし危ない目にも実際合う可能性はあった。といっても4〜5年前の話なので本作の当時の「錦糸町は危ない(フィリピンパブが)」という認識はもはやなかったし、描かれているほど引ったくりがいるイメージもない。 この20年ぐらいで変わったところなのかなーと思いながら読んでいた。 読了後に90%実話、というのを知りちょっと驚いているが、妙にリアルさはあったのでそういうことかと納得。 貧国の貧困層がどうやって生きていくか、その選択肢にある日本への出稼ぎという実態は、出稼ぎしてくる彼女たち本人の目にどう映っているのだろう。