『欠けた月とドーナッツ』や『女ともだちと結婚してみた。』の雨水汐さんが描く、12歳の差がある男女の恋愛物語。 強い結婚願望を持ちながら2年付き合っていた彼氏と別れ、一方で仕事では順調に出世コースに乗りますます恋愛や結婚から遠ざかりそうな30歳春を迎えたファミレス会社勤務の本田沙綾。 彼女を幼い頃から慕い、将来結婚して欲しいとおもちゃの指輪を渡して申し込んだこともある弟の友人である12歳年下の春太と再会して猛アプローチされるラブコメです。 物語の中では多少の歳の差など問題になりませんが、実際に12歳も歳が離れていたら現実的な問題も色々とあります。 結婚費用。 家賃などの生活費。 35までに子供を産みたい。 23で父親になれるか。 子育てはできるか。 総合的に考えて、「好き」という感情だけで結婚できる年齢ではない。 そうしたハードルがあることを踏まえながら、それでも歩みを進めて行こうとするふたりのラブのコメり方に「いいぞ、もっとやれ」となる作品です。 再会後最初に春太が取ったムーブには思わず『グラップラー刃牙』1話の空手家になってしまいましたが……。 何しろ、雨水汐さんの絵が綺麗で魅力的です。感情が溢れる大ゴマのときの表情など、とても良いです。 1巻完結ですが、おまけにあるようなこの先のふたりの掛け合いをもっともっと見ていたかったというのが正直なところ。多分、これからふたりには大変なことも押し寄せると思うんですが、それを乗り越えていくところなんかもあわせて見たかったなぁと。 細かいところでは、ファミレスの従業員の「推しと同じ身長なんですけど」という空気の読めない強火オタクちゃん、地味に好きです。ヤニカスの林さんなど、彼らのキャラクターの良さからエピソードもどんどん膨らみそうだったので総じて続きが読みたいなと思いました。 年上のお姉さんと子犬のような男子の関係性が好きな人にお薦めです。
同性婚が法制化された日本を舞台に、二人の女性が試しに結婚してみる、という物語ですが、同性婚についてだけではなく、もっと広く結婚について考えさせる内容だと感じました。 女性同士、友達関係のまま恋愛をすっ飛ばして始める結婚。性格も生活スタイルも違う二人だが互いに生活能力はあり、男女の結婚のような性役割がないので、お互いにどうしたいかを話し合って進める結婚生活は理想的に見えます。 その中で、奔放な相手に恋しているが、その奔放さを愛する故にそのまま受け止めてそれ以上を求めない女性の愛の在り方に打たれる。私はこんな見返りを求めない、大きな愛を持てるだろうか……。 そしてその愛に少しずつ気付く、奔放な女性。彼女が相手を大切にしたい、という感情を獲得する過程……それは思い遣りという、小さな愛を積み重ねる過程。 恋から始める結婚だって、半ば賭け。恋が冷めた時、そこに愛が残るかはその時になってみないと分かりません。盲目な恋の先に残ったのはよくわからん人だった、という可能性は高い。 そんな曖昧な恋に頼るよりも、お互いに過ごしやすい、気楽にいられると感じる相手と暮らた方が、楽しい生活を送れる確率は高い。もし「積み重ねた時間の分だけ愛が生まれる」と言うなら、なおさら一緒にいて楽しい友達と結婚する方が、理屈は合ってる。たった1巻で強い絆を結びつつある二人を見ていると、そんな風に思ってしまうのです。
ほぼ表紙買いです。 なんでもない普通な日常に出会った二人、この百合尊い! 百合かどうか微妙なラインですが。 元気、ワンコ系の女子とお姉さん(だけどぬいぐるみ好き)の組み合わせいいです! 絵も繊細で可愛い。 なんだかんだ惹かれ合って一緒にいようとする二人が幸せそうで、読んでて幸せな気持ちになります。
百合漫画に出てくる、異性愛を前提とする恋バナ女子集団の同調圧力に、イラッとする。しかし一方で、自分も圧力をかける側だったかもしれない、と緊張もする。そういう事に気付ける百合漫画には、万人に読んで欲しい普遍性があると思う。 ♡♡♡♡♡ 普通の恋愛が出来ない事に思い悩む女子は、会社の友達との恋バナに疲弊しながら、言い寄る男性を拒み続ける。 周囲への劣等感や男性への嫌悪感等々、幾つもの苦しみを抱えた彼女は、それを軽くしてくれる人に出会う。 会社では真面目な堅物、一匹狼なその人に自分を肯定し、受け入れて貰えた喜びは、やがてもっと近づきたい、という感情に変化する。しかしその人もまた恋情に疎く、妹に対する強い思いに縛られていた。 人目を気にして外面を取り繕ってきたオシャレ女子の心の解放に、こちらの心も軽くなる。一方で真面目女子の物語はまだこれからの様で、予断を許さない。しかし妹の、姉への思いと動向が意外で、物語を楽しくしてくれている。 二人で歩く月夜の秘密と開放感に、私も救われる感覚がある。苦しみの先に生まれ続ける優しさを、スマートでふんわり美麗なページを繰りながら見続けたい。 (2巻までの感想)
【ショコラ1】 雨隠ギド先生の表紙絵だけで本の金額以上分価値があるので実質タダ。 オフィス系ではないですが大人の女性の恋模様が楽しめる筍先生の「一色の紫陽花」が良かったです。芸妓の女性と、そのパトロンだった男の娘、恋人ではないが互いに想いをよせあい、遺言で繋がっている二人。 樺山先生の「10年と恋。」は、キャラがやっぱり我慢ができなかったと迫るコマが素晴らしい!想いが溢れだしてどうにもならない心情が強く伝わってきます。 【ショコラ2】 郷本先生「けむりのきみ」あまり百合漫画では見かけない線の感じですが私はとても好きです。もっと読みたい。 原百合子先生の「レイトブルーマー」はあまり人気のないアイドルとカメラマンの話。短編ですが一冊読んだような読みごたえでストーリーがとてもよかったです。 百合アンソロジーはこれが初買いでしたが味をしめたので他のも一気に買いました。追々レビューしていきます。
『欠けた月とドーナッツ』や『女ともだちと結婚してみた。』の雨水汐さんが描く、12歳の差がある男女の恋愛物語。 強い結婚願望を持ちながら2年付き合っていた彼氏と別れ、一方で仕事では順調に出世コースに乗りますます恋愛や結婚から遠ざかりそうな30歳春を迎えたファミレス会社勤務の本田沙綾。 彼女を幼い頃から慕い、将来結婚して欲しいとおもちゃの指輪を渡して申し込んだこともある弟の友人である12歳年下の春太と再会して猛アプローチされるラブコメです。 物語の中では多少の歳の差など問題になりませんが、実際に12歳も歳が離れていたら現実的な問題も色々とあります。 結婚費用。 家賃などの生活費。 35までに子供を産みたい。 23で父親になれるか。 子育てはできるか。 総合的に考えて、「好き」という感情だけで結婚できる年齢ではない。 そうしたハードルがあることを踏まえながら、それでも歩みを進めて行こうとするふたりのラブのコメり方に「いいぞ、もっとやれ」となる作品です。 再会後最初に春太が取ったムーブには思わず『グラップラー刃牙』1話の空手家になってしまいましたが……。 何しろ、雨水汐さんの絵が綺麗で魅力的です。感情が溢れる大ゴマのときの表情など、とても良いです。 1巻完結ですが、おまけにあるようなこの先のふたりの掛け合いをもっともっと見ていたかったというのが正直なところ。多分、これからふたりには大変なことも押し寄せると思うんですが、それを乗り越えていくところなんかもあわせて見たかったなぁと。 細かいところでは、ファミレスの従業員の「推しと同じ身長なんですけど」という空気の読めない強火オタクちゃん、地味に好きです。ヤニカスの林さんなど、彼らのキャラクターの良さからエピソードもどんどん膨らみそうだったので総じて続きが読みたいなと思いました。 年上のお姉さんと子犬のような男子の関係性が好きな人にお薦めです。