『男子の品格』『ノケモノたちの夜』の星野真さんの新作は、根幹の大きな設定に魅力がある和風ファンタジーです。 この世界には龍がいて、それは多くの人にとっては吉祥の象徴。しかし、流刑島で罪人の首を斬る役目に就く主人公イサギに剣を教え込んだ名将・タツナミだけは違いました。ただひとり龍にまつわる「ある仮説」を立てており、そのために龍を殺すという大罪を為したのです。 龍殺しはいわば多くの人にとって信仰の対象となっている神を殺したも同然です。しかし、その真意をイサギとタツナミの息子のチエナミだけが知ることとなり、その真相の確認とそれが本当であるならば龍を殺さねばならないという大業を為しに向かう物語となっています。 恐らくその目的が人々に知られれば、狂人と罵られるような蛮行に映るでしょう。ほとんど誰にも理解されない、けれどその理解してくれない数多の人々を救うために孤立無縁の戦いに挑んでいく。その、哀しくも気高い構図が堪りません。 また、罪人ならまだしも時には裁かれるほどではない者の首も斬り続けてきたであろうイサギ。彼の背負った闇もこの作品の雰囲気を形作っています。望むと望まざるに関わらず斬った相手の持つ記憶を垣間見ることができるという能力を持つイサギは、逃げられない仕事を通じてさまざまなものを見てきたことでしょう。常人では堪えられないほどの重苦を味わってきたイサギから時折覗かせる闇もまた、この作品のポイントです。その闇があるからこそ、緩急をつけたシーンも際立っています。 何よりも星野真さんの絵が良く、ひとつひとつの表情、ひとつひとつの眼の力がとても魅力的です。イサギがタツナミから授けられた剣の腕前を発揮するシーンを始めとして、アクションシーンの迫力も圧巻です。 辰年に相応しく、今年読みたい作品のひとつです。
『ノケモノたちの夜』アニメ開始のタイミングで『サンデー うぇぶり』で始まった特別連載! 続編きたぁあああああああっ!!! ウィスとマルバス+スノウ兄さんが訪れたのは『オフェーリアの森林迷宮』。登場人物を絞り込んだのは新規読者とグダグダ防止の配慮だと思います。「ノケモノたちの夜」本編を読んでいると思わずニヤリなセリフも登場。 カラーページは綺麗だし漫画は読みやすいです。最終回から間が空いているのにキャラの言動や作品の雰囲気はノケモノそのもの!作者さんの作品愛をビシバシ感じます。 打ち切り作品がアニメ化・続編漫画化なんてレア中のレア。雑な最終回にせず限られたページ数で可能な限り丁寧に作品を畳んだ事が余韻となって良い結果に結びついたと思っています。 今回の連載で全ての伏線回収は難しいでしょう。 続きの続き、待ってます!!(気が早い)
※ネタバレを含むクチコミです。
異性装(女装)という一見ギャグに思えるテーマですが、笑いがありながらも性別に関わらず好きな服を着れば良いという大切なメッセージがしっかり伝わるすごい漫画。 ギャグのキレが良くて、でも人を傷つけるような笑いやモヤモヤするような表現はないという、絶妙なバランス感覚で描かれた作品でした。 うぇぶりの連載で楽しみにしてた作品ですが、あらためて単行本で読んでみても良かったです! 主人公の辰祈ちゃんの品格は本当に素晴らしく、「もしみんなが男の強さと淑女の優しさを身につけることができたらいい人間になれるなぁー!」と思わされました。 ちなみにこの次作がノケモノたちの夜だったので新連載が始まったときは「え!男子の品格の人が!?」とギャップに驚きました。
『男子の品格』『ノケモノたちの夜』の星野真さんの新作は、根幹の大きな設定に魅力がある和風ファンタジーです。 この世界には龍がいて、それは多くの人にとっては吉祥の象徴。しかし、流刑島で罪人の首を斬る役目に就く主人公イサギに剣を教え込んだ名将・タツナミだけは違いました。ただひとり龍にまつわる「ある仮説」を立てており、そのために龍を殺すという大罪を為したのです。 龍殺しはいわば多くの人にとって信仰の対象となっている神を殺したも同然です。しかし、その真意をイサギとタツナミの息子のチエナミだけが知ることとなり、その真相の確認とそれが本当であるならば龍を殺さねばならないという大業を為しに向かう物語となっています。 恐らくその目的が人々に知られれば、狂人と罵られるような蛮行に映るでしょう。ほとんど誰にも理解されない、けれどその理解してくれない数多の人々を救うために孤立無縁の戦いに挑んでいく。その、哀しくも気高い構図が堪りません。 また、罪人ならまだしも時には裁かれるほどではない者の首も斬り続けてきたであろうイサギ。彼の背負った闇もこの作品の雰囲気を形作っています。望むと望まざるに関わらず斬った相手の持つ記憶を垣間見ることができるという能力を持つイサギは、逃げられない仕事を通じてさまざまなものを見てきたことでしょう。常人では堪えられないほどの重苦を味わってきたイサギから時折覗かせる闇もまた、この作品のポイントです。その闇があるからこそ、緩急をつけたシーンも際立っています。 何よりも星野真さんの絵が良く、ひとつひとつの表情、ひとつひとつの眼の力がとても魅力的です。イサギがタツナミから授けられた剣の腕前を発揮するシーンを始めとして、アクションシーンの迫力も圧巻です。 辰年に相応しく、今年読みたい作品のひとつです。