凄い作品や凄い才能に出会ったときに「何食べたらこうなるんだ」「どんな景色が見えてるんだ」みたいな言い方をすることがあるけれど、panpanya先生はわりと普通の食事をして普通の通学路や散歩道を通って生きてきたんじゃないかと思う。 広い世界に目を向けなくても、目の前のものをじーっと見つめていたら勝手に広がっていくんじゃないかと思わせてくれる作品。 なんの変哲もない日常のようでめちゃくちゃ変、でもなんか見たこともやったこともあるような気がする。この作品を読んだ直後にお散歩したらとんでもないことが起こりそう。 非日常にトリップしてたら地元の市章が出てきて急に日常に引き戻された。
不思議な世界観満載。 夢の世界なのか? 現実世界のその先なのか? 過去にタイムスリップしたのか? はたまた、仮想空間なのか? 作者の気になるものを突き詰めるとこういう作品になるのだろうと理解することにする。 魚と巨大なものが好きな方は、読んでみてください。
なんとカラーページたっぷり!と書いてあるのに数ページしかないぞ!でもいいです、モノクロもめっちゃ味があるので。 panpanya作品はLINEスタンプでも持ってるのですが、内容的に使い勝手が良いものでもないのでたまに使う程度。 ただ、この作品の一番最後に出てくる「そんな可能性もあるわけだ」はその中でも使いやすい方で、思い入れの深いスタンプです。 スタンプの話は置いといて、本作はムジナだったり亀だったり猯(まみ)だったりと様々な動物がお題の短編集。 登場人物はいつものメンバー+友人女子役が1人追加された感じ。 一気に読むと役柄がコロコロ変わるのでどこか演劇でも見ているかのような気持ちに。
panpanyaさんの作品が面白いという情報はマンバで得ていたものの、どんな作風でどんな作品を描いているのは正直知らなかった。 なのである話として途中まで読んでた。デアゴスティーニで建てた家、絶妙にありそう。 緻密に描き込まれた背景とエッセイ漫画的な語り口が、明らかにない話を絶妙にある話にまで落とし込んでくる。 脳に直接作用して記憶を書き換えられてるような気持ちになった。かん水で鳩でっかくなるし関東ローム層の焼き芋美味しそうだし。原理としては合ってそうな気がする。騙されてる気もする。 グヤバノも架空のフルーツだろうにリアリティが凄いなと思ったらこれは実在するのか…。虚構に驚き真実に驚き、どっちみち凄い。
panpanyaさんが山崎製パンから発売されていた菓子パンにどハマりした話「カステラ風蒸しケーキ物語」がおもしろかった。大絶賛されているので食べてみたいのですが、残念ながら現在は生産終了しているようです。口の中が想像のカステラ風蒸しケーキの味になったまま虚しい気持ちでいたら、「続・カステラ風蒸しケーキ物語」「続続・カステラ風蒸しケーキ物語」が描かれていることを発見しました。panpanyaさんのカステラ風蒸しケーキ愛に感服いたしました…。
おつかいで渡されたメモの中に解読不可能な一文を見つけ、その一文であろうものをさすらいながら探す「完全商店街」、自由研究で自動販売機の観察をしていたら自動販売機の予想外の秘密を知ってしまう「マシン時代の動物たち」など、panpanyaさんの何を狙っているのかわからないけどこだわり、さすらい、色々なものへの執着心は(理解しようと思えば)わかる。赤瀬川原平的な感じがするマンガ。手応えはよくわからないのですが読みごたえはかなりあります。
panpanya先生の作品は、不定期だけど繰り返しパラパラと読み直したくなる、アナログで手元に置いておきたいマンガのひとつ。 その商業第1作『足摺り水族館』。 個人作品を再構成しつつ、未収録作品を追加されたもの。この雑多な感じが魅力だなーと思う。panpanya先生といえば現実と非現実をフワフワと漂いながら行ったり来たりするような、不思議な世界観が魅力。 表題作「足摺り水族館」は作中で3編に分かれて描かれている。古めかしい栞に誘われて不可思議な空間へ向かう。中編は写真と文章で日記みたいな感じ。後編はなんだかもう集大成といった雰囲気。 他にも様々なテイストの作品があって面白い。 お母さんからのメモに全く読めない謎の言語で書かれた品物が一つあり、それをなんとかして買いに行こうとする「完全商店街」。木炭絵?っぽい画風の「イノセントタワー」(2つ目の京都タワーに向かうお話)。不可思議な空間を少年が歩いていく描写で台詞が一切ない「無題」。喋るし動く自動販売機のお話「マシン時代の動物たち」などなど多種多様。 これ以降の作品も、もちろん素晴らしいけれど、本作はとくに各作品個性が際立っている気がする。まさに混沌。中には合わない作品もあるかもしれないが、「読んでよかったなー」と思うエピソードがきっとみつかる、はず。 そして「無題」がさっぱりわからないので誰か教えてほしい……(笑)
まずはじめに、panpanyaさんの作品を読んだことがないという方。この段落で一旦回れ右して、取り急ぎ今作ではなく、著者のページから過去作を手に取って見てください。個人的には「足摺り水族館」もしくは「蟹に誘われて」が入り口としては良いのでは無いかと思います。 panpanyaさんの作品は、一度見たら忘れられない圧倒的な書き込み量とその書き込みによって生み出される現実とも非現実とも付かない摩訶不思議な世界観が最大の魅力です。過去5冊の単行本ではその世界観を余すところなく展開していましたが、今作ではそこから1歩踏み出した感じがあります。 表題作「グヤバノ・ホリデー」は未知の果物"グヤバノ"との出会いから、それを追い求めてフィリピンまで赴き実食に至るまでのドキュメンタリー風の作品です。 この物語を読んだ時、非実在の存在を描きながら現実・非現実の境目が曖昧になるpanpanyaさんらしい作品なのかと思っていましたが、"グヤバノ"という単語を調べてみて、それが実在する果物と分かった瞬間、物語の見え方が大きく異なってきます。 この物語は、グヤバノを追い求めて海外まで行くという点を除けば、ほぼ全て現実に存在する物が描かれています。これまでのpanpanya作品では実在物と非実在物を織り交ぜて世界の境目が曖昧な作品を描いていましたが、今作では描かれているものは全て実在する、でも世界観は非現実的ないつものpanpanya世界。これは、panpanyaさんが自身の作家性をもって現実を飲み込もうとしている、私達はその過程に立ち会っている。そう思うのは考え過ぎでしょうか。いずれにせよ、panpanyaさんは過去作を含めて線で追っていくべき作家で、そして現在における到達点がこの「グヤバノ・ホリデー」ではないかと思います。
作者のいつもの感じで架空の食べ物だと思ってたら、実録ルポで驚いた。虚構に実在感を与えるのが上手い人だが、表題作ではそれが逆転しているのが楽しい。
日常からのずらし具合がちょうど良く、読みやすくなったように思う。「かくれんぼの心得」「通学路のたしなみ」「海の閉じ方」あたりが好き。
凄い作品や凄い才能に出会ったときに「何食べたらこうなるんだ」「どんな景色が見えてるんだ」みたいな言い方をすることがあるけれど、panpanya先生はわりと普通の食事をして普通の通学路や散歩道を通って生きてきたんじゃないかと思う。 広い世界に目を向けなくても、目の前のものをじーっと見つめていたら勝手に広がっていくんじゃないかと思わせてくれる作品。 なんの変哲もない日常のようでめちゃくちゃ変、でもなんか見たこともやったこともあるような気がする。この作品を読んだ直後にお散歩したらとんでもないことが起こりそう。 非日常にトリップしてたら地元の市章が出てきて急に日常に引き戻された。