モーターサイクルメモリーズ

どこかで誰かが経験していそうな短編バイク漫画集

モーターサイクルメモリーズ せきはん(大森しんや)
名無し

20代でバイクに乗り始めたころから降りる頃まで ほぼ毎月、月刊誌のミスターバイクを購入していた。 だがどちらかというとツーリング派だったためか 新型バイクのスクープとか、メカニックなことや レース関係の記事についての内容はあまりおぼえてない。 何かのたびにふと思い出すのは掲載されていた短編漫画。 あの頃は広井てつお先生の漫画が多かったと思う。 せきはん先生の漫画はそれより5年くらいは後から 掲載されていたみたいだ。 最近になって存在を知って読んだがいかにも ミスターバイク誌が掲載しそうな漫画だと思った。 バイクのあるいろいろな風景を切り抜いたような 短編漫画集だった。 バイク漫画にはレースだったり暴走族だったりを扱ったもので 有名なものもいくつかある。 というか、有名なバイク漫画は殆どがレースか族か中心で 競争や戦いをテーマにしたものが多い。 ツーリングだったり日常ドラマをメインにあつかった バイク漫画もそこそこあるが、誰もが知っているヒット作と いうものは少ないと思う。 ミスターバイク誌もバイク誌としてはかなり人気があったと 思うけれども、だからといって大人気を博したり 話題になったり長期連載になった漫画もほとんどないと思う。 想像だが、ヤングなんとかとかバリバリなんとかとか とんがったバイク誌ならレースや族をテーマにした バイク漫画も連載できたかもしれないが、 人其々色々な嗜好や思考をもつバイク好きを対象にして、 幅広い層に読まれるバイク雑誌を作ろうとしたら、 せきはん先生の作品のようなバイク漫画のほうが 掲載に適していたのではないかと思う。 流行ったり話題になりそうなカッコイイシーンではないし 自分は未体験なんだが、何か懐かしい感じもするシーン。 万人受けするとか誰もが経験している題材でもないし、 だがそういう気持ちや雰囲気はわかるなあ、 という人もいるだろうなあという題材の作品。 そんなページ、そんな1コマがあちこちに出てくる。 自分の好みとまでも行かず、共感を覚えるというほどに 自分のバイクに対する思いとピッタリ同じでもないのだが、 なんだか「そういうのもいいよなあ」と 思ってしまう漫画。 そんな漫画の短編集だと思った。

のーどうでいず

フルカラーで見るタナゴ&埼玉田園風景

のーどうでいず せきはん(大森しんや)
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

「ポンポン山美人姉妹」の姉・高校生のさとみは、タナゴオタクだった!胴長姿で水路に入っていくさとみに、妹のともえも、近所の純とはなこも、呆れ顔。オシャレもしたいけれど、まだまだ外遊びも楽しい!そんな女の子達の自然観察&アウトドア系夏休みを、フルカラーでどうぞ。 ----- 作者のせきはん(大森しんや)先生は、例えば古いバイクに跨る女の子の『グッバイエバーグリーン』、旧車のレストアを学ぶ女の子達の『ぜっしゃか!』など、ノスタルジーに消えてしまいそうな物を若い感性が再評価する、という物語を描かれる。 『のーどうでいず』の場合は、都市化を免れている田園風景を、若者が慈しみ楽しむ様子が瑞々しく描かれている。取り敢えず自然は豊かで、子供達も先のことを考えず、今を目一杯楽しんでいて、ゆるく楽しめる。 この作品が全編カラーで描かれているのは、恐らく、タナゴを描くためであろう。幾度か出てくるタナゴの、虹色の体色は本当に美しい(現実のタナゴも全く同じように美しい)。これを求めるさとみの感覚は、宝石探しのようなもの、なのかもしれない。 青空と緑の自然美に、女の子達の色とりどりの服がアクセントになっていて、単調にならない。色調を明るく、淡めに統一しているので、目に優しく、楽しげながらも、ちょっと色褪せたノスタルジーも感じられる。 優しい色彩の中を溌剌と遊ぶ女の子達に、こちらも元気を貰えるこの作品。1巻で止まっているのが勿体ない。 タナゴ釣りの仕掛けの、精緻な細工の話など出来ないだろうか。さいたま水族館やムサシトミヨの話なんかも見たい。 今後に期待しては、いけないだろうか……。