スイートモラトリアム

キラキラ眩しい地獄のような日々

スイートモラトリアム たまいずみ
野愛
野愛

地獄のようだけど、キラキラの青春のようにも見える。それが若さだよと言われたら苛立ってしまうけど、そうかもしれないなと思えるようになってきた。 モラトリアムを過ぎてしまった大人には、眩しいような恥ずかしいような作品だった。 彼女も友達もいて穏やかな日々を過ごしていた大学生・心の前に、元カノ・りんごちゃんが現れる。 何不自由なく真っ直ぐ育った真面目な今カノ・小夜ちゃんと、依存体質で破滅的な恋愛をする元カノ・りんごちゃん。 小夜ちゃんのことは好きだけど、りんごちゃんを放っておけない……2人の間で心は揺れ動いてしまう。 優柔不断で己の愚かさに酔う心も、不器用すぎるほどに正しい小夜ちゃんも、自分の感情で周囲を掻き乱すメンヘラりんごちゃんも、身勝手でダメで情けなくて嫌なやつで愛おしい。 これ以上最低だったら愛せないけど、これ以上善人だったらリアルじゃないし面白くない。可愛げのなさが絶妙で可愛い。 身を滅ぼすほどの恋愛をした覚えはないけれど、若かりし頃の愚かな自分を見せられているような瞬間があって、痛がゆいような気持ちになった。 今まさにこの日々を過ごしている人が読んだら、胸が張り裂けるほど切ないかもしれない。とっくの昔に過ぎ去って忘れてしまった人には、何も響かないかもしれない。 でも、みんなちょっとくらいは青春の痛みを思い出すんじゃないかなと思った。

マコちゃん、さ

マコちゃんはすごいよ! #完結応援

マコちゃん、さ たまいずみ
nyae
nyae

2巻が出たときにこの漫画の存在を知って読んでみた。連載じたいはかなり前に終わってたのに2巻だけ出てなかったみたいですね。 いわゆる「こじらせ女子」的な子が主人公の話と言ってしまっていいと思うんですけど、その一言では片付けられない奥深さがあります。基本的にいつも自分がやることなすこと上手くいかなくて自己肯定感が低いマコちゃん。その心の穴をいつも男で埋めようとするのは全く共感できないですけど、この漫画の面白さは共感できるかできないかではないのかなと読んでくうちに感じてきました。あらすじにあるように、まさに彼女の"旅"を記録したドキュメンタリーです。 自分の幸せってなんなのかを模索する話ってたくさんありますけど、マコちゃんのそれは頭で考えるよりも先に口や体が出てしまう感じで、常に体当たりなのがすごいんです。深く考えず飛び込むから失敗する。その様子にイラッとしないといったら嘘になりますけど、そういうやり方でしか得られないものってあるし、それをマコちゃんが体を張って証明してくれるのが気持ちいいです。というか本人は失敗失敗いうけど、こっちからしたら常人には出来ないことをいくつも成してるように見えます。なのにいつも軸がブレブレ。そこも人間らしくていい。 2巻の終わりの方にマコちゃんがお母さんに突っ走って失敗することを指摘されて「突っ走らないとチャンスが逃げちゃうことだってあるもん」と反論するところすごく刺さりました。マコちゃんだからこそ言えるセリフだなあと。 この漫画が世間にどんなふうに評価されてるのか知りませんが、2巻が出たことによって多くの人に読まれてほしい一作です。