甲子園で選手がパフォーマンスを注意されるニュースが流れるたびに、私はうんざりしてしまいます。なぜこうも若い子を萎縮させてしまうのか、と。 そういう感情を持つ人には、この『宙-chuu-』という作品は痛快に感じられるのではないでしょうか。 厳しいサッカーに嫌気がさした女子は、サッカーとは縁もゆかりもないお嬢様学校に入学するのにそこでまた「フットサル」と出会ってしまう……という物語ですが、フットサルチームの面々のユルさ、献身や規律を強要されない自由、そして溢れ出す創意のままにプレーする喜び!が!もう楽しくて!仕方ない! プレイの作画がものすごくカッコよくて、それに魅了されて読み進めてゆくと次第に、過去の部活サッカーで自分を抑えてきた人達が解放される物語があって、胸熱が止められない! WBCで大谷選手をはじめとした日本代表達がプレッシャーの中でも野球を楽しむ姿にときめいた身としては、こういう作品を、サッカーを、スポーツを見たかったんだよ!もうスポ根とかいらねえよ!とか思ってしまうのです。 そして……主人公はじめ、いくつかの百合可能性も提示されていて、私としてはこの作品、ウェルカムだぜ!
『夕空のクライフイズム』の手原和憲さんによる新作蹴球マンガ! それだけで白米を食べられるくらいに嬉しいことでした。 本作の主人公は、中学校時代は「二本尾(ツインテール)のケルベロス」の異名を持つ鉄壁のゴールキーパーだった少女・小桜宙(こざくらちゅう)。しかし、厳しい環境にいた結果サッカーが好きかどうか分からなくなり高校ではサッカー部のないお嬢様学校コディーノ女学園へ。しかし、寮で同室の溝端に導かれた先で待っていたのは楽しく球を蹴る集団「けりたま部」。宙の第二の蹴球人生が始まっていくという内容です。 先輩の愛川クレメンタイン幸子さんは、声に出して読みたくなる名前もさることながら、美しい容姿とアーゼガム(ウイイレ好きにはお馴染みの、アーセナルのもじり)出身という凄い経歴で、何より強く優しい性格が最高に良い魅力的なキャラクターで、宙も幸子への憧れを隠しきれません。 他にも、ミステリアスな孤高の天才中学生・しるくちゃんや、強豪校私立青鵬高校の面々など魅力的なキャラクターも続々登場してドラマを盛り上げてくれます。 肝心のフットサルに関してもひとつひとつのプレイの凄さが大胆かつわかりやすく演出されていて、恐らくルールを知らないという人でも問題なく楽しめるでしょう。キャラはかわいいですが、プレイはかっこいい。そのギャップも堪りません。 そして、何と言ってもこの作品で良いのはサッカーを楽しめなくなって窮々としていた宙が、ふたたび球を蹴ることの純粋な楽しさを思い出して笑顔でプレイする瞬間です。元々、何かを好きだったのに何かのきっかけでその気持ちを忘れてしまった人には、競技を越えて響くのではないでしょうか。シンプルに好きだと思える気持ち。そんな好きだと思える対象を、一緒に楽しめる周囲の人たちの存在。人生で特に大切なものが、ここにあります。『夕空のクライフイズム』にも通ずるテーマで、ただ勝つだけのみならないところにあるものの大事さですね。 私も、この作品が好きだという気持ちを多くの人と共有したいです。
キャラクターの細やかな心情に寄り添いながらも激しく濃厚なサッカー論を展開しまくった前作「夕空のクライフイズム」とは反転して甘酸っぱい恋模様を展開しまくっている今作。高校生の青春という部分では共通しています。 「夕空」では敗者の美学というのもテーマだったので、この恋物語の行方もひと癖ふた癖あるのではないかと期待しています。主人公と同じ子を好きなイケメンという強力なライバルがいるので、彼にはガンガン仕掛けて面白くしていってほしいところではあるのですが…昨今のラブコメでは恋のライバルにやきもきさせられる展開はあまり望まれていないようですね
連載中は「ちょっと変わったユルくて可愛い女の子も出てくる日常系サッカー部活マンガ」って思ってたけど、あらためてまとめて読んで印象がガラリと変わった。 スーパーな才能を持った選手は全く出てこない。 それぞれ様々な弱点を持ちつつも、成りたい、憧れのプレースタイル、自分が生きる道を実現するために、何かを諦めながら、葛藤しながら希望を持ってもがきながらも進む姿。 そして、それを支え、彼らの道を一緒に拓いて行く手助けをする監督とその娘(女子中学生にしてサッカーオタクの戦術コーチ!)。 ユルフワな空気を残しつつもひた向きにサッカーに打ち込む彼らをもっと、ずっと見ていたかったなぁ。
甲子園で選手がパフォーマンスを注意されるニュースが流れるたびに、私はうんざりしてしまいます。なぜこうも若い子を萎縮させてしまうのか、と。 そういう感情を持つ人には、この『宙-chuu-』という作品は痛快に感じられるのではないでしょうか。 厳しいサッカーに嫌気がさした女子は、サッカーとは縁もゆかりもないお嬢様学校に入学するのにそこでまた「フットサル」と出会ってしまう……という物語ですが、フットサルチームの面々のユルさ、献身や規律を強要されない自由、そして溢れ出す創意のままにプレーする喜び!が!もう楽しくて!仕方ない! プレイの作画がものすごくカッコよくて、それに魅了されて読み進めてゆくと次第に、過去の部活サッカーで自分を抑えてきた人達が解放される物語があって、胸熱が止められない! WBCで大谷選手をはじめとした日本代表達がプレッシャーの中でも野球を楽しむ姿にときめいた身としては、こういう作品を、サッカーを、スポーツを見たかったんだよ!もうスポ根とかいらねえよ!とか思ってしまうのです。 そして……主人公はじめ、いくつかの百合可能性も提示されていて、私としてはこの作品、ウェルカムだぜ!