坂のある新興住宅地に引っ越したエリートサラリーマン一家。絵に描いたような家族の幸せの時間が始まるはずだったが、ある雨の日を境にして、浅倉家は抗いがたい「運命」の渦に呑み込まれ、幸せな家庭が静かに壊れてゆく……。早稲田大学漫研出身の作者が、実社会で活躍する同世代像を描いた迫真のリアリティ!注目の人気作にして問題作!!
二年前に牧原ちづると運命的な出会いを果たし、婿養子となった牧原良介。良介は、ちづるの父親が社長を勤める牧原物産で精力的に働く。そして、ちづるの両親と二世帯住宅に同居し、暖かな家族に囲まれて過ごす、この上ない穏やかで幸せな日々。何もかも幸せだった。義妹の小夜子が現れるまでは。妻と妻の妹、そして美貌の部下。抑えられない欲望に全てがのみこまれ、禁断の愛に平穏な生活が脅かされてゆく……。