螺旋じかけの海

設定が小難しいけどおもしろい

螺旋じかけの海 永田礼路
ゆゆゆ
ゆゆゆ

食費をうっかりお酒代にかえては、一緒に暮らすハルに叱られる生態操作師のおじさん・オト。 料理はすごく不味いらしい、射撃の腕はピカイチな若者・ハル。 人以外の遺伝子をもつ異形成キャリアと呼ばれる人たちがいる世界。 水没した街には何故か特に多く住んでいる。 この世界の法律では人以外の組織の割合が一定を超えた異形成キャリアは基準外キャリアと呼ばれ、人とはみなされない。 とはいえ、見捨てられた水没した街の人々は、他の生き物のパーツが体に発現するまで、自分が異形成キャリアであることすらわからない。 街に近い洋上で暮らすオトとハルは、国の定めた基準を超えてしまった異形成キャリアの人たちを、生体操作をして助けていく。 人以外の組織が1%でも超えたら人ではなくなるのは、おかしくないか。 服などで見えない部分が超えていたらわからないのに、人ではなくなるのか。 人間らしい思考を持っているのに? じゃあ、人間らしい思考を持っていたら、あきらかに別の生物でも人なのか? 「人間と他の生物を分かつものは何か」 あらすじにあるこの問いを、「螺旋じかけの海」は様々な物語から問うている。 そして、めずらしい(より人のかたちに近い)異種形成キャリアは高値で取引されることが、問題を複雑にする。 作者の本職は医者とのこと。 色々悩みながら描かれているのかもしれない。 小難しい漫画に思えるが、食えない性格のオトとおだやかそうなハルの掛け合いがおもしろいので、さくさくと読める。 続刊があるのかないのかわからないけど、続くなら読みたいなと思う。 追記 11話の5巻でいったん終わりだと、単話11話前編として公開された電子書籍内に書かれていました。 https://twitter.com/nagatarj/status/1642143272561954818 追記の追記 5巻が発売されました

お前の寝言がわからない

男女差も文理の違いも、人によるからね

お前の寝言がわからない 永田礼路
ゆゆゆ
ゆゆゆ

文系理系でなんやかんやいうのは嫌いなんですが、おもしろく読めました。 文理というより、この人たちが変だからでしょう。 男は〜女は〜という言い分に、文系理系という区分を組み合わせたラブコメディです。 ラブコメらしく始まって早々に、久しぶりに出会った昔なじみとルームシェアになるのですが、二人揃って大人のせいか、にじみでる熟年夫婦感というか。 とはいえ、熟年夫婦だともう言わないような生活の不満を言い合うフレッシュさというか。 なんというか、月日を感じさせない仲良しさがあります。 そして作中で描かれる、一緒に住んでいてのちょっとした不満は「あー、そう!それ!!それ!!あるある!!!」みたいなのがわりと出てきます。 「少女漫画ぽく愚痴る。」には出てこなかったタイプの愚痴です。 ちょっとした不満が大きくなりすぎないうちに、ちゃんと解決しようと話し合えるのが素晴らしいです。 衝突は起きれど、ルームシェアは円満長続きしそうなお二人です。 ちなみに、賞味期限を気にしない人は、文理問わず気にしません。 彼の人たちは、細菌の増え具合などを凌駕する腹を持っているようです。なお、腹を壊すかどうかは外国の水と同じく、ある程度は慣れのようです。 https://twitter.com/nagatarj/status/1578613334618038272