砂にかいたテレフォンナンバー
男の子の名前がひとつも入っていない比呂のアドレス帳。そのアドレス帳に片思いの吉竹くんが自分の電話番号を直筆で書いてくれた!! うれしさで心がいっぱいの比呂だったけれど、その番号がウソだとわかり……。本気か冗談か、わからない相手の気持ち。期待してドキドキして、失望して。我慢するほど涙が出るのは、“くやしい”と“好き”が比例している証拠？ せつない恋を描いた表題作ほか、全5作を収録。
マルビグルメ倶楽部
恋するおかっぱ少女、杏奈はケーキ同好会のリーダー。「安くおいしく」をモットーに、柔軟な発想でお菓子をつくるのが得意！今日のニンジンクッキーは色合いも鮮やかで、とってもおいしそう。うっかり作りすぎてしまったことだし、バスケ部の具留米くんに差し入れしてあげよう。ときめきを胸に体育館へ向かう杏奈と、その仲間たち。しかし彼らを待っていたのは、いけ好かないお嬢様・鯛小路菊音の黄色い声援だった。いつもは高飛車な彼女も、具留米くんには夢中らしい。ところが具留米くんの目はニンジンクッキーに釘づけ。山盛りの差し入れを、あっという間に食べつくしてしまった！激怒した菊音は、お菓子作りで杏奈に勝負を申し込む。愛情とおいしさを競い合う表題作をはじめ、甘いお菓子と暖かいメルヘンが同居する『クッキーの王子様』など、５つの物語を収録！！
死海（シデム）の帝王
古代のカナン地方（現在のパレスチナ）において、悪徳の都ソドムの若き英雄・マイラが勇名をとどろかせていた。「死海の黒豹」との異名をもつ彼は、長い黒髪をたなびかせ次々に戦果を挙げる。しかし華々しい活躍とは裏腹に、彼の胸中は「神などいない」という乾いた諦観に支配されていた。神が実在するなら、血にまみれた自分を真っ先に断罪するはずではないか、と思えてならないのだ。父親の悪意や部下の裏切りを目撃し、マイラの瞳はいっそう憂色を強めるが……。ソドムが崩壊するまでの一部始終を切り取り描く、ファンタジックな歴史ロマン！
