残酷だけどこれが現実 #読切応援
こういうことがいつか自分の身に降りかかることはあると思っていたほうが良い。正直、気をつけようがないものでもあるけど。 ただこの漫画の何が一番恐ろしいかって、主人公が高齢者の一人暮らしということだ。まわりの友人知人は、主人公に何が起こっているのか察しているにも関わらずそれを直接伝えることはしないし、ましてや病院をすすめることもない。優しい言葉をかけて少し距離を置くだけ。 彼女のこの先を考えてものすごく不安な気持ちになって読み終えた。
それはある日訪れる。自分の名前が書けなくなったり、日付や時間を間違えたり…。
いわゆる「認知症」。もう言わないのかな「痴呆症」「ボケ」とは。
「認知症」という言葉を使わずに69歳の女性当人の視点で描かれていく違和感の手触りと、周囲の「これは…」「もしかして…」といわんばかりの表情。同年代の友人たちはおそれているんですね、いずれ自分もそうなるんじゃないかと。だからこそ怖いし、それを自分が宣告することも残酷でできない。
まるで、いずれ自分が変質して別の生き物になってしまうホラーを描いた作品のような感覚で描かれていて、まさにそうではあるんだけど、面白かったです。
認知症をテーマに海外のアニメーション映画『しわ』や、アンソニー・ホプキンス主演『ファーザー』という映画でも描かれるんですが、当人の視点に立つと本当にショッキングです。自分が認識できているもの・こと・ひとが時を吹っ飛ばしたように変化したり、まるで違うもののように見えたりします。そちらも観る機会があったらぜひ。
欠ける月・欠ける月 どこにでもいる平凡な婦人・望月さく(69)。 夫を早くに亡くして一人暮らしをしており、 ラジオを聞くことと俳句サークルに行くことが趣味。 ある日、風邪をこじらせてしまってしばらく外に出られなかった彼女は、 久しぶりに俳句サークルに行くがーー。 「きずあとに花」「土曜日の三重...
どこにでもいる平凡な婦人・望月さく(69)。 夫を早くに亡くして一人暮らしをしており、 ラジオを聞くことと俳句サークルに行くことが趣味。 ある日、風邪をこじらせてしまってしばらく外に出られなかった彼女は、 久しぶりに俳句サークルに行くがーー。 「きずあとに花」「土曜日の三重奏」の冬虫カイコ描く、完全新作読切20ページ!!