誰も最低じゃない
主人公、自分のこじらせによって大事な人を同時にふたりも失っているわりにはどこか冷めてて、ただの思春期という言葉では片付けられない話なのかもしれない。どうしてよっちゃんは変わってしまったのか、あのとき親友はどういう気持だったのか、彼女が理解するのはもう少し先の話になるんだろう。
高校生のみよこの元へたびたび訪れる従兄弟のよっちゃん。子どもの頃は憧れていた優しくてかっこよくて勉強ができたお兄ちゃんだったが、あることをきっかけに全く変わってしまったよっちゃん。
目標を失い自堕落に生きているように見えるよっちゃんは果たして最低なのか。理想を押し付け幻影を追い続けるみよこが最低なのか。自分の気持ちに向き合うのが怖いだけではないのか。いま思春期のど真ん中にいる彼女には冷静に俯瞰して自分自身を見ることは難しいかもしれない。それは、気持ちを打ち明けてくれた友人の気持ちに応えてあげられるほど他人に興味が向いていないからこそ、過去のよっちゃんに執着し、現在のよっちゃんを素直に受け止められないことにも表れているんだろう。
まあ、単純によっちゃんも頑張って、とも思う。
従兄弟のよっちゃんは優しくて、真面目で。そんなよっちゃんが大好きだった。 変わってしまった従兄弟の幻影を追う、青春の暴走を描いた気鋭の読切28P。
従兄弟のよっちゃんは優しくて、真面目で。そんなよっちゃんが大好きだった。 変わってしまった従兄弟の幻影を追う、青春の暴走を描いた気鋭の読切28P。