①オールスター・土門の9連続奪三振挑戦
・横浜学院の後輩たちとの約束で江夏以来の記録に挑む土門。
山田の打席で捕手を三太郎にするという無印の設定を拾ってくれたのも
良かったし、山田に投手ライナーを打たれ、惜しくも記録を達成
できなかった土門を見て、
『山田さえいなければ記録を達成できていた』
と、後輩たちが奮起するのも感動。

②渡辺久信・完全試合
・これは開幕戦で岩鬼に先頭打者弾を浴びた渡辺さんが
TV企画で水島先生に抗議(ガチではなくシャレです)し、
実現したもの。
あの手この手で悪球を作り出そうとする岩鬼との対決が面白かった。
余談ですが、この話が掲載された一か月後くらいに
現実で渡辺さんはノーノーを達成しています。

③里中と瓢箪のバッテリー
・里中のスカイフォークを捕る為に猛特訓に挑む瓢箪が
良かった。ロッテでの里中の相棒だったので、
瓢箪はもっと大事にして欲しいキャラでした。
スーパースターズ移籍の時でもエピソードが欲しかった。

④オリックス・佐藤義則の老獪戦術
・岩田鉄五郎ばりの手管で山田を翻弄するのが面白かった。
そして、降板後を不振のクローザー・平井に託し、
殿馬の励ましから平井が山田を打ち取り、復活の狼煙とする
展開が最高。

⑤スーパースターズ・アイアンドッグス結成
・スーパースターズはホームベース、
アイアンドッグスはマウンド、
それぞれに分かれてチームを決める演出が良い。
『俺たちは生涯打倒山田だ』と
迷うことなく、マウンドに集まる不知火たちライバルが
カッコいいし、
迷うそぶりしながら、『弱っちくて心配やから』と
スーパースターズを選ぶ岩鬼も好き。

ドカベン プロ野球編

じつは滅法おもしろいプロ野球編!

ドカベン プロ野球編 水島新司
影絵が趣味
影絵が趣味

数あるドカベンシリーズのなかでも、亜流なのかもしれないですが、地味に好きなのがプロ野球編です。まず、ドラフトからいって滅法おもしろい。巨人とホークスを除いた10球団が、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、と山田を一位指名して、岩鬼が学校のグラウンドでラジオを聞きながら怒っているという。たしか、岩鬼はノックをしながらで、一年か二年の誰かが受けているんですけど、全部かっ飛ばしちゃって、これじゃあ練習にならないですよーとか言われている。とても印象的な始まりでした。そんな岩鬼は、巨人とダイエーから一位指名を受け、気持ちは巨人の長嶋監督だったけれど、ホークスの王監督が当たりくじを引く。岩鬼は涙ぐみながら、これも勝負の定めとか何とかそれっぽいことを言ってホークス入りを決める。外れ一位戦線では山田のライバルたちが次々と指名される。 日ハム→不知火 横浜→土門 中日→影丸 ヤクルト→中 近鉄→坂田 阪神→武蔵 広島→犬神 本格派の好投手を獲ってしっかり育てているイメージのある日ハムが不知火を指名しているのが、いかにもって感じです。こうしてみると、みんなけっこうハマっているような気がします。坂田なんかは地元球団ですしね。 そして、里中が三位で千葉ロッテ、微笑が三位で巨人。五位でオリックスがピアノの道に進む殿馬を強行指名と続きます。 肝心の山田は西武ライオンズ。これは清原から直に打診があったそうなんですね。俺はドカベンから四番バッターの心得を学んだんだ、と。だから、ぜひとも続きを描いてほしい、と。まあ、清原が言うんじゃ仕方ないというわけで、山田は清原が在籍していた西武に入団することになります。ちなみに殿馬のオリックス入りはイチローが頼みこんだみたいですね、ぜひとも殿馬とプレイしたい、と。これはもうナイスアシストとしか言いようがないですね、ここに夢の1・2番が誕生するわけですから。 そんなこんなでプロ野球編がはじまるわけですが、捕手を主役に置いたドカベンの特異な構造が高校のときよりもふんだんに生かされていると思います。これこそがプロ野球編ひいてはドカベンの醍醐味だと思うのですが、本来なら主役におさまるべき投手を主役にせず、あえて捕手を主役にすることで、かえって個性豊かな投手たちをライバルとして描けることになるのです。そればかりではなく、プロ野球編では、山田が受ける投手がもはや里中だけじゃない。何なら里中は高校時代にはなかったスカイフォークを引っさげて山田のライバルとして立ち塞がり、山田は、渡辺久信(ナベQ)、松坂大輔、犬飼知三郎、蔵獅子丸らを巧みにリードしていきます。対ホークス戦では、岩鬼の打席で、大先輩のナベQに対してど真ん中の直球を要求して、マジかよ、なんて言わせるわけですから、これが面白くないわけがないんです。 プロでも山田殺しのワンポイント・リリーバーが大勢現れます。なかでも印象深かったのは、牛虎というピッチャーですね。のらりくらりとした牛のようなフォームから、星野信之ばりのスローカーブと直球を投げ分ける投手で、90キロのスローカーブを見せられたあとの直球に山田は金縛りにあう。しかも、スピードガンには150キロの表示が。まさに牛虎という名を体現した投手でした。 そんなこんなで投手はむしろ、贅沢なことにも有り余ってきたような感じになり、坂田や犬神を野手としても活躍させたりしています。坂田はわかるとしても、犬神の野手転向は渋かったですね。あくまでも、どっちもできるユーティリティープレーヤーみたいな感じでしたけど、一時期はカープの四番打っていましたからね。 時代が進むごとに野手でもオリジナル・キャラクターが増えてきます。いちばん最初は、里中とバッテリーを組むことになる瓢箪だったでしょうか。里中のスカイフォークを捕球できるのが一緒に特訓をした瓢箪だけだったので、里中とともに一軍登録になり、ロッテの守護神バッテリーとして活躍します。のちに山田とバッテリー組むことになる蔵獅子丸も、当初は野手として登場しました。清原の抜けた四番に山田を押しのいて座るんですけれど、まあ、高飛車な選手で山田をコケにしまくる。背番号は440(ししまる)、もうこれだけで勝ちのキャラクターです。でも、じつは変化球がまったく打てないことが判明して、いつのまにか投手として山田のいい相棒になっていましたね。イチローの後釜として、オリックスに入団した不吉霊三郎なんてのもいました。名前のごとく、対戦相手に怪我とかイレギュラーとか不吉なことが起こりまくるというドカベン史上もっとも意味不明なキャラクターでしたけれど、まあ、トリッキーの殿馬との相性はバッチリでした。 岩鬼がバント等の小技に目覚めるなんて年もありました。お客さんからの野次が秀逸で「何でもありじゃあスーパースターじゃなくて、スーパーマーケットだろうが!」とか言われていましたね。大笑いしたのを憶えています。 最後まで名前の出てこなかったことからお察しいただけるように、微笑をいかに活躍させるか、みたいなところもひとつの見所ですね。 シリーズの中では、つまらないと言われがちなプロ野球編ですが、いやあ、滅法おもしろい! ドカベンならではの良さがいちばん出ているのがプロ野球編だと思います!

あぶさん 球けがれなく道けわし

あぶさん 球けがれなく道けわし

野球コミックの巨匠・水島新司が遺した作品の中で 今まで一度も単行本に収録されていない 幻の作品を発掘して一冊にまとめた「野球文化遺産」。 絶筆となる「あぶさん~球けがれなく道けわし~」ほか 5編を収録。全世界の野球漫画を愛する読者に 送る必読の一冊です。 【編集担当からのおすすめ情報】 野球漫画のレジェンド・水島新司氏が 一本一本魂をこめて紡いだ単行本未収録作品集です。

試し読み
おはようKジロー

おはようKジロー

千葉県の私立冠学園高校に入学した少年、岡本慶司郎(通称:Kジロー)は、甲子園出場を夢見て、野球部入部を希望する。しかし、野球部は3年前に廃部していた。落ち込むKジローだったが、すぐに立ち直り、野球部の復活へ向けて、部員の募集を開始した。当初はそんなKジローを冷ややかに見ていた生徒たちだったが、Kジローの人柄に打たれ、一人また一人と入部者が増えていった。そして、ついにKジローたち冠学園ナインは、甲子園への第一歩として、千葉県大会に出場を果たしたのだった。

試し読み
ストッパー

ストッパー

ドラフトがなんだ、プロ選手三原心平誕生!無名の高校生・三原心平は、唯一自分の力を認めてくれた大阪ガメッツのスカウト海老手さんを、口説きに、口説いて、どうにかガメッツ入団に成功したのだが…。

試し読み
あぶさん〜球けがれなく道けわし〜

あぶさん〜球けがれなく道けわし〜

水島新司 画業60周年記念作品 ホークスひと筋の酒仙打者、景浦安武。通称「あぶさん」。夏の甲子園が100回を迎えるこの夏、景浦安武はノックバットを杖がわりにする”長老”と出会った─────。野球を愛してやまない巨匠が描く「真夏+白球」の読み切り作品登場!!(ビッグコミックオリジナル2018年16号)

試し読み
どかべん ぷろやきゅうへん
ドカベン プロ野球編
1巻を試し読み
本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
プロ野球編・名場面にコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。