おしゃピクきっかけの美しい友情物語
Get Ready?の南マキ先生作品ならハズレはないだろうと読んでみました。予想通り面白いです。 会話のテンポがよくてほのぼのコメディとして楽しめるのに、登場人物1人1人の心情が丁寧に描かれていてグッとくる作品です。 友達が少ない不器用OL、インスタグラマーの姉御肌な主婦、お人よしで食べるのが大好きな女子高生、クールな女子小学生、年齢も生活もバラバラな4人がおしゃピクを通して仲良くなっていくお話です。 自分のこんなところ人には見せられないな、こんなこと言ったら嫌われるかな……と取り繕ったり武装していたところごと愛されたらうれしいよね、友達に対してこうでありたいよね、という素敵な友情が描かれているのが素晴らしいんです。 コミカルなのに気がついたらホロっときちゃうから南マキ先生はすごいなあ……。 全2巻でサクッと読めるのに心が温かくなる作品です!おしゃピクしてみたい!
『インヘルノ』や『美女が野獣』のマツモトトモさんの最新作。
「剣聖」と呼ばれた祖父を持ち16年間剣道に邁進してきた少年が、3人の美形ダンサーと出会ってA(エース)と呼ばれるようになり、ダンスの道に引き摺り込まれていく物語です。
印象がほぼ闇金の人であるリーダーのJ(ジョーカー)、派手なK(キング)と地味なQ(クイーン)。抜群に顔が良くてダンスも上手い3人の素性・バックボーンは物語を読み進めるにつれて明らかにされていきます。そうしてキャラクター性が確立されてくると、脇役も含めて全員とても魅力的でどんどん彼らが織りなす物語を読みたくなります。
シリアスとギャグがいい塩梅で調和しており、Aが最初のボックスステップで
「これは…靴を履かされた実家の犬…!(ポポちゃん3歳)」
と言われたシーンでは声を上げて笑ってしまいました。しかし、剣道一筋で培った体幹や身体をコントロールする技術によってみるみる成長していくAの姿はワクワクします。
絵柄が非常にスタイリッシュですが、それに加えて
「磨き上げられた骨と肉」
「顔面が良すぎる…!全てのパーツがすっきり整った圧倒的端正なお顔立ち…ああ神の与えし顔(かんばせ)…!!」
「踊るということは 常に今の自分を否定されるという事」
など、随所に出てくるさり気ないセリフやモノローグのひとつひとつにパワーワードが溢れており、惹き付けられます。
こんなにスタイリッシュな作品なのに、
「この漫画を読み終わったら社員食堂の本棚の美味しんぼの隣あたりにスッと置いといてもらえると嬉しいです」
という冒頭の作者コメントも何とも良いです。