無常観と青春
青春は儚いし、時は無常だ。 同じ春は二度とやって来ない。また三人で笑い合えたとしても、あの頃には戻れない。 渦中にいると苦しいのに、振り返りたくなるほど眩しいのが青春なんだと感じた。 第四話の冬の三人に青春のすべてが詰まっている。 どうしようもない恋に振り回されて変わってしまった三人が、幼い頃のように笑い合う場面。 幸せすぎる時間だからこそ、終わりを予感させて寂しくなった。 青春の儚さと美しさが描かれた作品でした。
『女の穴』『ぼくらのへんたい』で大注目の漫画家・ふみふみこが描く青春群像。高校三年生の松苗澄花は父の遺品である双眼鏡で、街を、人をのぞくことが趣味。レンズ越しに見ていた、いとこの暁生と恋仲になるが、なかなかうまく行かない。一方、暁生の双子の姉、千夏は二人のゆくえを見守るかに見えたが……。また子供の頃のように、無邪気に笑いあえる日が来ることを望みながら、三人は大人になってゆく。web連載空間『ぽこぽこ』での連載分より、60ページ以上を加筆した完全版が遂に登場!
「人に勧めたい青春漫画Best」の中の1つです。
仲が良かった昔と違い、少し距離が開いてしまっている幼馴染の3人が主人公。
恋や進路に悩み、それぞれ人に言えない秘めた気持ちを抱え過ごした一年間の話。
希望どおりにならないことも自分なりに折り合いをつけながら子供と大人の狭間で揺れる思春期の心や、田舎町ならではの閉塞感や安心感を見事に描き出していると思います。
さすがふみふみこ!という感じです。