横山光輝が漫画家としてのキャリア初期に手掛けた4作品『あけみちゃん』(1957年「少女」春の大増刊号)『ちぐさちゃん』(1956年「少女」秋の大増刊号)『青空兄妹』(1957年「少女」夏の増刊号)『春風よがんばれ』(1956年「少女」新年増刊号、前記いずれも光文社刊)を収録。いずれの作品も雑誌に一度掲載されたのみで、単行本に収められることのなかった幻の少女まんが。「少女まんが」とはいえ『あけみちゃん』にはミステリーの要素を、『ちぐさちゃん』にはダム建設といった社会的なメッセージが込められ、掲載誌の主役が“まんが”ではなかった時代に物語としての面白さを読者に提示しようと試みた作品となっている。特に『春風よがんばれ』は、“競馬”をモチーフとしており、後年の著者の趣味の発露を感じることができる。
貸本漫画雑誌『街』に連載されたハードボイルド調のホラー作品で、これまで一度も復刻されたことのない幻の名作。本作のほかに「イボのある男」「人を呪わば」「くも妄想狂」など楳図ファン垂涎の希少作品を収録。※電子書籍版に『「俺の右手」読本』(巻末解説)は収録されていません。
1956年、デビュー間もない楳図かずおが大阪の出版社、三島書房から描き下ろし単行本として発表したミステリー作品。少年探偵・岬一郎が活躍する一連の貸本シリーズの第一作である。ハードボイルド劇画全盛期にあって早くも怪奇趣味が横溢する内容になっており、その後の作者の作品の萌芽を見ることができる。雨の降り続く町にふらりと現れた岬一郎は、町の主と呼ばれる奇妙な老人に出会う。老人は一郎が持っていた写真をいつの間にか取り出していた。そこにはクモのようなものが写っていた……。※電子書籍版に『「森の兄妹」「底のない町」読本』は収録されていません。
1959年に刊行された単行本の復刻です。平家の落人伝説を舞台に、人里離れた深山の集落に隠された謎と恐怖が交錯する幻想奇譚。劇画調の手法をとりいれ、岬探偵の冒険と伝説をミステリアスに描いた著者の初期代表作。