六文銭
六文銭
1年以上前
純猥談なんていうから 「純然たる猥褻な談義」 だと思った私ですが、実際は 「純文学+猥談」 のようで、なんでもプロジェクト?のようなもので、映画(動画)だったりSNSだったりと展開しているもののコミック版な位置づけが、本作。 大元は存じ上げてなかったのですが、端的に言って、すっごく良かった。 特に、ちょっと切ない、ちょっと物悲しいリアリティのある恋愛が好きな私にとって、必ずしもハッピーエンドにならないかつ体験談をベースにした本作はドンズバでした。 特に1話目。 甘酸っぱい青春時代の思い出をとても美しく描き、大人になって再会してもヨリを戻すことなく本当の別れを演出した様は、グッときました。 過去の良い思い出は、添付のコマ画像にあるように 「たまに思い出すぐらいで ちょうどいい」 というセリフは真理そのものですね。 思い出は思い出のままで、現実にもってこない、もってこさせない感じが大人だと思います。 たえる、こらえる、人生の苦味ともいえるこの感覚が最高です。 1話完結の短編形式ですが、どのエピソードも素晴らしく、 過去の恋愛に未練や煮え切らないものがあっても、前にすすめなければならない人生と折り合いをつけていくキャラクター達には共感せざるをえません。 甘いだけではない、ハッピーエンドにならない、リアルな恋愛を読みたい方はぜひ本作をおすすめします。
純猥談なんていうから

「純然たる猥褻な談義」

だと思った私ですが、実際は

「...
ナベテツ
ナベテツ
1年以上前
日韓ワールドカップの後、日本代表の中盤に「黄金」というフレーズが冠されていた頃。海外でプレーする日本人選手がまだまだ十指に足りないくらいで、日本代表の過半数はまだJリーガーだった時代。 この作品に登場する選手のモデルは当時のJを観ていた人間ならほぼ分かりますし(ライバルだけは架空の存在ですが)、10年以上の時を経て読むとひどく懐かしく感じる、そんな作品です。 オシムさんの訃報に触れ、市原臨海の仮設スタンドで西野さんの率いるガンバとオシムさんのジェフとの試合を観たのがもう20年近く前のだとふと思い、この作品に登場する皮肉交じりの東欧出身の監督も良いキャラだったなあと古いサッカーファンとしてノスタルジーを覚えます。 アトランタで将来を嘱望された、かつての天才が再起する物語。今のサッカーからしたら泥臭く暑苦しい作品ですが、時代の空気を閉じ込めた佳作であると思っています。原作の綱本さんのデビュー作であり、ジャイキリよりはコンパクトにフレーバーを感じられる作品ではないかと思います。 末尾になりますが、オシムさんのサッカーは面白かった(ナビスコ決勝でガンバが敗れたのも今は良い思い出として語れます)。賢者への謝辞とともに、R.I.P