名無し
1年以上前
板垣先生の陸上自衛隊時代の実話を漫画化した読み切りシリーズ。 名高くもこれまで読む機会がヤングチャンピオンでの発表時と一部での再録ぐらいだった98年と99年の、そして22年に少年チャンピオン本誌にそれぞれ2作ずつ発表した新作を単行本にまとめている。 富士山周辺を丸一周(!)する過酷な行軍を描いた「200000歩2夜3日」そして高空を飛ぶヘリコプターから身一つでダイブする訓練にはじめて臨んだ時の体験を描いた「340メートル60秒」は板垣全盛期の熱量タップリで圧巻の読み応え! パラシュートの訓練でいつもヘタレだった同僚が勇気を出して訓練に臨む姿に感化されるくだりがもう最高にかっこいいんだな! この2作を手軽に読めるようになっただけでも大変喜ばしいことと思う! (ここから先は蛇足と捉える人もいると思うので読みたい人だけでどぞ・・・) さて新作の方に話を移すと、文字通り自慰な漫画である「210日900m/m以上?」に関してはノーコメントでいきたいが、「70分600cc以上?」は単行本で「200000歩2夜3日」のあとに前日譚として載っていて、この順番だと初出時よりはしっくり来るなーという印象を持った。同じ生理現象を扱っていてもこちらの方が身近というのもある。あの行軍をまさかXX状態のまんま完遂したとは・・凄いぜセンセイ。 通しで読んでみると、20世紀の2作品ではストイックな努力や素朴な友情、勇気など少年漫画的な王道要素がじつは結構つよいのに気付かされる。初出誌がヤングチャンピオンな割にw そしてそれと対比させるように21世紀を迎えて描かれた新作2作では欲望を描いていて、よく言えば飾らなくなった、悪く言うなれば視野がちと狭くなった。 追い求める目標が崇高なものから単なる生理現象へとランクダウンしたのはなにか意味深である。 思えばバキ本編もケレン味の強い漫画と言われながらもなんだかんだと親子喧嘩の決着までは大きな部分では王道で外してこなかったけど、武蔵編以降は宮本武蔵のクローンを復活させてみたり勇次郎に妙な後付け設定が加わったりで、邪道と言ってしまうとあれだが、そういう「なんか変な方向に行ったような?」という、昔の板垣と今の板垣の作風の変遷を考えさせられるところがこの単行本の意外な収穫と言えるかもだ。
名無し
1年以上前
主人公の八郎がまずおもしれー男。レトロな丸メガネをかけてて朴訥としたヤツなのかと思えば、クールで頭がキレる。そのうえ物凄く大胆。 幼い頃に幼馴染が「結婚するならお父さんみたいなプロ野球選手がいい」と言っていたから、「幼馴染と結婚して爺さん婆さんになるまで一緒にいたいから」という一昔前の少年漫画のような素直さと熱いラブで、「入団1年目MVP&球団の優勝」という常人なら躊躇うような大言壮語を吐く。 けど決して、一昔前の猪突猛進少年漫画主人公みたいなガムシャラなやる気でバリバリしているわけでなく、淡々と覚悟を決めて理性的に取り組んでいるという令和な主人公でおもしれー男。 そしてヒロインもおもしれー女。 「結婚できるほど生涯を暇にする予定はない」と言ってのける、ミスターカーボンズと呼ばれた偉大な野球選手だった父が稼いだ年俸を元手に事業を起こした天才女子高生社長・鈴。 万年最下位に落ちぶれてしまったカーボンズを、父がいた頃のような常勝球団にするため1年後に買収するという。 結婚する気はないものの、幼い頃に言ってしまったということで1年で八郎がMVP達成&優勝を成し遂げれば結婚してもいいと条件を出す。 キャラがいいとやっぱ漫画は面白い。どんな1年になるのか期待。