没落伯爵令嬢は家族を養いたい@COMIC

原作には「ざまぁ」も「溺愛もない」転生令嬢物語と書かれていて

没落伯爵令嬢は家族を養いたい@COMIC 椎名咲月 しろ46
ゆゆゆ
ゆゆゆ

舞台はナーロッパとも呼ばれる、小説家になろうにあるある「中世〜近世のヨーロッパに魔法と魔物がいる」世界。 ゲス野郎の父親が全財産を担保にした博打で負けた帰りに事故で亡くなってしまい、早く担保となった家を開けねばと事後処理をしているところから物語は始まる。 主人公が使える能力が「筋力強化」という名の馬鹿力で、普通のご令嬢にはあまり縁がなさそう。 さらに、美しい母親の実の娘であり、妹もそれを継いだにも関わらず、主人公は隔世遺伝なのかキラキラしていない凡人顔。 ただ、思い出した過去の知識を元に無双する。 テレビの「日本スゴイ」番組のように、現代日本の知識で、周囲を圧倒していく。 「ざまぁ」も「溺愛」もないけど、非常に「小説家になろう」らしいテンプレート。 婚約者等による溺愛はないけど、周りの人々から愛されている。 すごく安心できるストーリー展開。漫画なので気軽に読める。 主人公が貴族的な知識を持っていないので、一緒に驚くことができたり、伏線になっていたり。 読んでフフッとなる要素も含まれていて楽しい。

志信さんと僕の謎解きペットショップ@COMIC

動物への愛と責任がある物語 #1巻応援

志信さんと僕の謎解きペットショップ@COMIC あおのなち からけみ
兎来栄寿
兎来栄寿

最近、人の心を持たない大手ペットショップが話題に上がり怒りと悲しみに包まれますが、小説原作のこちらの作品に登場するペットショップの素敵さには膝を打ちました。 何といっても、陳列販売をしておらずブリーダーさんとの仲介に徹していること。また、餌に関しても成分表示をしっかり行なっている輸入品のみを扱っていること。また、そんなお店の心意気を汲んで多少高くても応援しようとそこで買い物を日々行う人もいて、とても良いサイクルになっているのが良いです。 何ならもう「ペットショップ」という名前を使わない方が良いのではという提言も作中でなされており、昨今のペットショップ問題がある今だからこそより考えられるべき論点も含まれていて意義のある内容です。 本作は、ペットショップ「ケネル」で働く19歳の陽斗が、大豪邸でたくさんの犬・猫・らんちゅうを飼っているお得意様の桐山家の当主で大の動物好きである志信とお近づきになり、さまざまな事件に巻き込まれていく物語です。 日本家屋と洋館両方があり、家の中にドッグランがある豪邸、良いですね。グレートピレニーズ(『SPY×FAMILY』のボンドが有名)を飼うなら、こんなお家でないとですからね。猫とらんちゅうを一緒に飼って大丈夫? などの湧きそうな疑問にも丁寧にケアがされており、何よりペットへの愛と気遣いをそこかしこから感じます。 そんな無垢な生き物たちが巻き込まれる事件が起こり人間の愚かさに腹立たしくもなりますが、そうした部分も含めて生き物を飼うということを改めて考えさせてくれます。大変ではありながらもそれ以上のものを与えてくれる共生、今一緒に暮らしている子をより一層大事にしていきたいと思いました。 コミカライズに当たってはからけみさんの絵がとても良く、人間も動物たちも魅力的に描かれています。巻末の原作者書き下ろし小説も心が和む良きものでした。