なめんなよ!
お人好し、常識人、気を遣う…いわゆる「いい人」と呼ばれる人たちが、自己中で理不尽な連中に振り回されて大迷惑―!!「いい人」だってキレるんです! そんな「いい人」が主役のドタバタコメディ。<涙のバスガール編>お人好しな新米バスガイドちなみが、初めて迎えた修学旅行生たちは、やりたい放題の荒くれ者集団。さらに、担任の先生まで居なくなってしまい…。<男もつらいよ編>札幌に恋人を残し、東京の生命保険会社で働き始めた誠。配属先は、トップセールスのお局さん2人が女王として君臨している部署で…。そのほか、<闘う奥さま編>、<ゴーゴー尼寺編>など、読んだ後はスッキリ!気分爽快コメディ4部作。
黒天使シンセラ
風もないのに音を立てて揺りかごが揺れる。覗きこむと、ベビーウェアに身をくるんだ可愛らしい赤ちゃんが無邪気に微笑んでいた。つられて顔を緩ませるあなたは、まだ何も知らない。柔らかく小さな身体に惨たらしい悪魔が宿っていることを!『J・スミス氏の赤ちゃん』ある総合病院でのこと。死後1ヶ月たった遺体から何か生まれ出た。直後に新生児室で前代未聞の事件が起こる。看護師たちが目を離した隙に、新生児室の赤ちゃんがみな消え去ってしまったのだ。たった1人だけ残っていたのは、スミス氏の赤ちゃんだけ。プリシラと名づけられた赤ちゃんは、両親と共に自宅に戻るものの、スミス氏一家の周りでは不吉なことばかりが起こり始める。いったい、どうして!? 表題作『黒天使(ブラックエンジェル)シンセラ』は『J・スミス氏の赤ちゃん』を原点として、磨き上げられたシリーズの1作目。新生児室の赤ちゃんがみな亡くなってしまった中たった1人元気に退院できた赤ちゃん、シンセラ。その可愛い寝顔に両親はみんなに幸せを運ぶエンジェルだと信じていた。けれど一家の周りでは不吉な事件や事故が相次いでいた。そして父のポールは愛娘シンセラの真の姿に気づいてしまうのだった。音を立てて回り始めた運命の歯車は、一家をどんな結末へと導くのだろうか?他にも『黒天使(ブラックエンジェル)シンセラ』シリーズの『愛と死のバラード』『赤い館』の2編を収録。美しいゴシックホラー映画のワンシーンのような画面に引きこむ作者の思惑に乗せられて、身の毛もよだつ悪魔の姿に震えながらも、あなたはもう引きかえせない!
ロザリンドの肖像
『ロザリンドの肖像』ニューヨーカーの学生エドワードは、ある日、伯父の遺産としてロンドンの人里離れた山中にある古城を受け継ぐ。その昔、ランドシァー伯爵が奥方ロザリンドのために建てたとされるその城は、華麗な細工が施され芸術品のごとく美しかった。城にはかつての女主人・ロザリンドにまつわる開かずの間が存在した。エドワードは城の管理人・サラが止めるのも気にとめず部屋の扉を開く。部屋には高貴で美しい女性の見事な肖像が掛けられていた。『ランドルフの花嫁』社交界に憧れる野心家の少女クローディア。ある日、上流階級の夫人から精神衰弱で幻覚を見るという青年・ランドルフの話し相手を頼まれる。彼の見る幻覚は死んだ婚約者レジーナのものでクローディアにそっくりな少女だったという。少しあやしげな話だったが、写真に写る美貌の青年ランドルフの容姿はクローディアの心を動かすには十分だった。普段の夏より面白い経験ができそう、と湖の畔のウェアハウザーの館に足を踏み入れるのだった。華麗な古城や白亜の館を舞台に不思議なできごとが起こる、豪華な読み切りの2本立て。おとぎ話のような美しさで迫る画面が、あなたを物語世界へと誘いこむ!
神様が決めた運命の人
40歳になり職場ではそれなりに色々と任せられる地位になった白鳥恵理は、後輩・佐々野が28歳という年齢差に時々ジェネレーションギャップに戸惑いつつも毎日が充実していた。そんな中、佐々野を狙っているという女性が現れて…。他、雨の日に突然押しかけて来た謎の女の話、探偵の恋人は弁護士!? 危険でドキドキな話、幼いころ貧乏だった女の子が社長になったのはあるワケがあった…! 「悪女について」など、読み応え抜群の短編集!
とある病院で産まれた子どもたちが謎の死を遂げる中、唯一元気に退院できた天使のような赤ちゃん・シンセラ。可愛い可愛い我が子に愛を注ぐ夫婦だったが、シンセラは天使ではなく不幸をもたらす黒天使(ブラックエンゼル)であった…。 なんの因果か突然産まれる黒天使(ブラックエンゼル)。なんの理由もなく訪れるのが不幸というものなのかもしれません。 それにしてもブラックエンゼルというルビが味わい深くてグッときます。 わたなべまさこ先生の最高傑作『聖ロザリンド』では最狂殺人鬼ロザリンドちゃんは可愛い可愛い天使のお顔のまま殺戮を繰り返していましたが、シンセラちゃんは天使と悪魔の表情の変化がはっきりと描かれています。 ロザリンドちゃんはサイコパス殺人鬼のサスペンス的恐怖でしたが、シンセラちゃんは悪魔憑きのホラー的恐怖です。 そして、普段は普通の可愛らしい赤ちゃんなので母親の苦悩や葛藤が伝わります。 悪魔だろうと黒天使だろうとシンセラはわたしの愛しい子なの、という母の愛は不幸の連鎖を止めることができるのか?そもそも悪魔にとって愛は救いになるのか? 恐怖だけではなく愛の力にも注目して読んでいただきたい作品です。