概要
2019年は、漫画家・田河水泡(たがわすいほう)(1899-1989)の生誕120年にあたります。彼の代表作「のらくろ」は、『少年倶楽部』1931(昭和6)年1月号から連載開始し、瞬く間に大人気となりました。その成功はマンガだけに留まらず、演劇やアニメーション映画、レコード、人形やお菓子のおまけなど多方面にわたり、「のらくろ」は、時代を代表する文化的なアイコンとなっていきました。 田河のもとには、杉浦茂や長谷川町子といった漫画家を志す才能豊かな弟子たちが集まりました。また、他の出版社もマンガ分野に参入し始めたことで新進の漫画家たちが台頭し、大量の子供向けマンガが市場に登場しはじめます。このなかで醸成された、豊潤な子供向け物語マンガの潮流は戦中も絶えることなく続き、戦後に手塚治虫などの新たな才能を育む土壌として、マンガ文化を大きく躍進させる原動力となっていったのです。 本展では、明治から始まる子供向けマンガの歴史をふまえ、田河水泡が戦前期のマンガやその他の分野に残した足跡と影響を軸に、「のらくろ」とともに昭和戦前期に花開いた、知られざる「子供マンガ」の豊かな世界を再発見します。 ※台風19号の被害による休館のため、本展覧会の開催を中止させていただきます※