私的漫画世界|江口寿史|ストップ!!ひばりくん!
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「ストップ!!ひばりくん!」は「週刊少年ジャンプ」誌上において1981年45号から1983年51号まで多くの休載を挟みながら連載したものです。連載期間はほぼ2年であり,通常のペースですと単行本は9冊くらいになるのですが,実際には4巻ですので半分くらいは休載していたことになります。
この作品の中では特別ページによく「白いワニ」が出てきます。この「白いワニ」は締切日が近づいても仕上がっていない原稿を象徴しているのでしょう。週刊誌には連載するということは扉絵を含め1週間に16ページを仕上げなければなりません。
ストリーを考え,コマ割りとネームを確定し,その後に描画作業となります。これを一人でこなすのは大変ですのでたいていの漫画家はアシスタントを使います。しかし,「ストップひばりくん」では男性であるひばりを女性以上にかわいらしく描くことにより成立している作品ですので,絵のこだわりが相当強かったと推測されます。
そのため絵の主要部分はアシスタントに任せられず作者自身が手がけることになり,さらに,女装している男子を中心に話を展開しなければならないので,アイディアにつまることになり,1週間で規定量の原稿を仕上げるのが困難となりました。
江口は隔週での連載をジャンプ編集部に希望しますが,受け入れられず,落稿や休載が目立つようになります。その結果,江口は連載を放棄し,未完の作品となっています。もっとも話は一話完結に近い形ですのでどこで終了しても違和感はありません。
私はまだ見ていませんが2010年に発売された「ストップ!! ひばりくん!コンプリート・エディション」の最終巻に5ページが加筆され,最終話の形をとっています。これにより,永遠に未完と思われた作品は27年越しで完結することになりました。(作品の休載事情等はwikipedia から引用しています)