あらすじ

「麗しきあなたに導かれ、私は愛と孤独を知る……。」人里離れた山中で撫子を育てながら兄・氷雨と穏やかな生活を送っていた日向。そんなある日、日向の元にひとりの男がやってきた。士族・東雲家の庭師で“疾風”と名乗るその美しい男は、日向に対し「貴女の本名は“東雲雷火”、十四年前に東京で誘拐された東雲家の次女だ」と告げる。その後日向は、兄の死をきっかけに、疾風とともに“雷火”として東雲家に戻ることを決意するが――…。
くろんの花の、蜜知る君は。 (上)

「麗しきあなたに導かれ、私は愛と孤独を知る……。」人里離れた山中で撫子を育てながら兄・氷雨と穏やかな生活を送っていた日向。そんなある日、日向の元にひとりの男がやってきた。士族・東雲家の庭師で“疾風”と名乗るその美しい男は、日向に対し「貴女の本名は“東雲雷火”、十四年前に東京で誘拐された東雲家の次女だ」と告げる。その後日向は、兄の死をきっかけに、疾風とともに“雷火”として東雲家に戻ることを決意するが――…。

くろんの花の、蜜知る君は。 (下)

「私の知らない“真実の私――”あなたは知っているの…?」疾風との出会い、そして兄・氷雨の死を機に、日向は「雷火」として生家の東雲家に戻ることを決意する。慣れない暮らしの中、唯一頼れる人は疾風のみ。次第に雷火は疾風に心惹かれてゆくが、心の距離はなかなか縮まらずにいた。そんな中、疾風が所持するノートに自分の名前が記されていることを知った雷火は、疾風が自分の出生にまつわる「何か」を隠しているのでは? と疑念を抱きはじめるが――…。