あらすじ

歌人として有名な安倍仲麻呂が遺唐使として中国の都・長安へやって来た頃。カラスが羽根を広げたような黒い葉、サンゴのような真紅の幹という不思議な木を深山で見つけた彫り物師の柳青。その不思議な木は黒の李氷の仲間の怪鳥だった。そして、柳青が彫った鳳凰とたわむれる甘美で官能的な少女こそ、後の妖貴紀であった…!!
黒の李氷・夜話(1) 夏朝幻想

紀元前17世紀、神獣・奇獣たちが跋扈していた中国。不老不死の少年、李氷が占い師として見たのは凄絶な未来が待つ兄妹。そして古代国家へとやって来た李氷は100年前にここで死んだという妹嬉に沼の中に引きずり込まれ、死を覚悟する。しかし、反魂の術で彼女を蘇らせることを条件に脱出し、蘇った妹嬉は帝桀の王妃として迎えられるが、それは悪夢の始まりだった…。

黒の李氷・夜話(2) 鬼神来迎

怪鳥を操り、大陸を彷徨する不老不死の少年、黒の李氷。彼は輪廻によりめぐりあう女性、セイに恋をするが、その度、失恋。大モンゴル帝国のフビライ王は日本に攻め入るため、総指揮を水軍総司令・都元帥の胡凱に命じる。セイの生まれ変わり、胡凱は再三、属国を拒否する日本国に出兵するが、フビライ王の真の目的は日本国の神を手に入れることだった…。

黒の李氷・夜話(3) 徐夫人の匕首

不老不死の少年、黒の李氷が活躍する紀元前17世紀の中国。人の運命を変え、歴史をも変えるという妖刀・徐夫人の匕首。その妖刀が狙っている少年こそ、後の中国初代皇帝、秦王 政だった。やがて即位した政は、淫乱な母親をはじめ、邪魔者たちを次々と追放する。そして、セイの生まれ変わり、荊軻に妖刀が渡った時…!?

黒の李氷・夜話(4) 妖貴妃

歌人として有名な安倍仲麻呂が遺唐使として中国の都・長安へやって来た頃。カラスが羽根を広げたような黒い葉、サンゴのような真紅の幹という不思議な木を深山で見つけた彫り物師の柳青。その不思議な木は黒の李氷の仲間の怪鳥だった。そして、柳青が彫った鳳凰とたわむれる甘美で官能的な少女こそ、後の妖貴紀であった…!!

黒の李氷・夜話(5) 鬼童子

京の都を荒らす鬼を退治するという源頼光は、親友の安倍晴明に手を貸してくれるよう頼む。そして、中国から日本へやって来た不老不死の少年、黒の李氷も手伝うことに。はじめて晴明に会った李氷は、気配すら感じさせない晴明に興味を抱く。やがて正式な勅命により、正倉院の警護を命じられた頼光は、晴明、李氷と共に大江山へと…。

黒の李氷・夜話(6) 炮神演義

妊娠後、10年経っても生まれぬ赤子。やがて誕生した我が子、母親の腹を裂いて生まれた子から、大陸の実権を与える代わりに着る物と食べる物を要求され、父親の周公は唖然とする。一方、輪廻による生まれ変わりのセイと再びめぐりあった黒の李氷は、自らの出生、セイがなぜ歴史の要所要所に転生し、現れるのかを知りたいと…。

黒の李氷・夜話(7) 黒の紫禁城

天地救済の神であるジョカ神、セイは幾度となく輪廻を繰り返し、歴史に登場してきた。そのセイを追いかける不老不死の少年、黒の李氷。舞台は西暦1900年の北京に移り、清が諸外国から侵略を受けた西太后の男尊女卑の時代。西太后の不幸は彼女が女性であったこと。一方、都を脅かす武装集団、義和団を率いるのは、なんと李氷!?