私的漫画世界|谷口ジロー|ブランカ
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谷口ジロー(1947年生)は鳥取県出身であり,高校卒業後に京都で会社勤めをしていましたが漫画家を目指して1969年に上京します。動物漫画で有名な石川球太(1930年生)のアシスタントとなり漫画の技術を学びます。
石川球太は人喰鉄道(戸川幸夫原作),魔犬ムサシ(梶原一騎原作),牙王(戸川幸夫原作)など数々の動物を主人公とする作品を発表しています。特に「牙王」はヨーロッパオオカミと日本の野犬との間に生まれた混血犬と幼少時の飼い主早苗とのこころ暖まる交流と早苗を襲った悲劇について描かれており,ブランカに少なからぬ影響を与えたものと推測されます。
谷口ジローも多くの原作物も手がけており,ハードボイルド,動物もの,冒険,格闘,文芸,SFと多彩な分野の作品を発表しています。絵はジャン・ジローやフランソワ・シュイッテンなどの影響を受けており,インタビューでは「日本で一番影響を受けているんじゃないか」と語っています。
「ブランカ」や「神の犬」ではスーパー戦闘犬を主人公にしていますが,「犬を飼う」では犬と暮らす日常生活を淡々と描いており,この作者は犬や動物が好きなんだなあと思わされます。
好きな動物をしっかり観察してることにより,疾走するときの躍動感,戦闘時の獰猛な顔つき,パトリシアのもとに走り寄るときのせつない表情など作者の犬の描画はリアリティに溢れており,犬を主人公とした漫画では出色の作品です。