あらすじ

山川ちはるは二人の娘と夫との4人暮らしの平凡な主婦。夫は家庭に興味を示さず、毎日小さな淋しさを背負う…。たまらなく淋しい時間があり、静かな喜びに浸る時間がある――。平凡な日常の中で生まれる様々な思いをやまだ紫が繊細に描いた不朽の名作。
しんきらり
山川ちはるは二人の娘と夫との4人暮らしの平凡な主婦。夫は家庭に興味を示さず、毎日小さな淋しさを背負う…。たまらなく淋しい時間があり、静かな喜びに浸る時間がある――。平凡な日常の中で生まれる様々な思いをやまだ紫が繊細に描いた不朽の名作。
続・しんきらり
飼っていた猫がいなくなったこと。夫が浮気をしていたこと。自分の体の不調を思い遣る子供たち、その一方で不調をいまいましく見る夫を見たこと――。日常の中で湧き出る思いや葛藤をやまだ紫が静かに描く。
御伽草子

御伽草子

ふしぎなことが日常にありふれていた中世ニッポン―。そんな時代に書かれた童話色の濃い短篇物語を集める『御伽草子』のなかから六篇を漫画化。明快かつ軽妙なやまだ流“世にも不思議な物語”
はなびらながれ

はなびらながれ

子供、結婚、家庭、結婚後の若い夫婦の思いや赤ちゃんが産まれたら? ケッコン後のお互いの関係や考えは? など葛藤を淡く描いく。暮らしの中で湧き出る思いを優しく綴る12編を収録した傑作短編集!
しあわせつぶて

しあわせつぶて

念願の“南向きのベランダ”の団地に引っ越してきた森田百合と夫のヒロ君。新しくはないけれど以前より広い部屋、良心的なお隣さん。何より“ふとん干し”“育児”に最適なベランダ。二人の新しい生活が始まる。しかし、ヒロ君が何気なく言った“コドモヲツクロウナ”という言葉が幸福のつぶてになり胸をうつ…。
Blue Sky

Blue Sky

商店街の外れで化粧をしてお酒を注ぐ。2児の母、愛子さんは無理解な夫と別れてスナック「ブルースカイ」営んでいる。子育てや店の切り盛りに追われる毎日の中である日、アルバイトとしてやってきた一回りも年下の一郎にいつ日か魅かれていき…
ねこのふしぎ話

ねこのふしぎ話

ねことの暮らしは不思議がいっぱい。こころに染みる珠玉の「ねこ話」。急逝した天才マンガ家、やまだ紫。新しいマンガ表現を切り開いた女性作家のねこの漫画や詩、エッセイたち。単行本未収録、お蔵出し作品、ねこエッセイ、ねこイラストを含む詩情のねこ世界。
試し読み
性悪猫

性悪猫

憤ったり、すねたり、思索したり、孤独に沈む性悪な猫たちは、性悪女を自覚する彼女の分身。でも、託すべき想いと託される猫との間には距離があり、両者のモノローグが交響し、静謐な詩情の世界が現れる。『さくらに風』にはこんなセリフがある。「やさしい自分であろう、やさしさを失くすまい」;と貴方が思うとき、貴方は淋しいのだ。やさしく在ろうと努めたことが、誰の為になったろう……と思うとき、貴方は傷だらけだ」。自立した女性の繊細な感情を猫のしなやかな姿態に託した鋭利な感性と詩情の世界。急逝した著者の代表作がよみがえる。収録作「出口」「性悪猫」「長ぐつ はかない ねこ」「時間の兵隊」。単行本未収録作1編と新たに発見された貴重な猫イラストを初収録!
しんきらり

しんきらり

夫婦が長く平和に―という望みは「ささやか」な望みなんかじゃなかった―。結婚して10年、2人の子供たちとの平和な家庭で起きるごく日常的なできごと。ささやかな安寧をもとめての日々がなにごとも起きるわけではなく、少しずつ崩れていく…。脆く淡い女と男の絆と家庭という場所のあやふやさを鋭い感性で描きだす。「性悪猫」とならぶ、女性マンガの先駆者であり先頃急逝した著者の代表作。齋藤愼爾氏の解説付。
ゆらりうす色

ゆらりうす色

自立した女性の繊細な感情を鋭利な感性で紡いだ独自の世界で、その後につづく女性マンガの先駆けとなり、先ごろ急逝した著者の入手困難となっていた代表作を復刊します。選集3巻目は、妻子ある相手との関係を透徹した距離感で描き出す表題作に、「コミックばく」に短期連載された異色作「Second Hand Love」を収録。
愛のかたち

愛のかたち

女性として母として人としてのさまざまな「愛のかたち」を珠玉の漫画作品。毎日の生活に追われて、何が本当に大切なものかがわからなくなったり、人生の選択に戸惑い、悩む女性たちの心をやさしく包み込みます
試し読み
空におちる

空におちる

思春期をむかえる少女の心のゆらぎ、母親のとまどい。幼い子を性の現場へ突き出したくなく、ぼかして説明していたものの、年が来ればそういう物を目に触れる時がくる。子育てによって得た物、失った物、親子の情景、家族の情景を温かな眼でみつめて描きだす作品集。
しんきらり
いつまでも名作であり続ける漫画
しんきらり やまだ紫
かしこ
かしこ
おおかみ書房より刊行された白取千夏雄「全身編集者」を読んで、やまだ紫作品を読み返したら更に面白かった。白取さんはガロの元編集者でやまだ紫さんの旦那さんなのですが、尊敬する作家であり最愛の人への言葉がとても真を突いていて、より深い作品の理解に繋がった気がする。 この漫画の主人公は主婦である。最小限に抑えられた線と研ぎ澄まされた言葉で彼女の心情を描いたことから、少女漫画ではなく女性漫画が誕生したと評価されたけど、決して女性しか共感できない内容ではないと思う。 夫と子供の世話に追われる日々を過ごしながら、それらの役割から解放されることが自由だというのではなく、初めから自分は自由であったことに気づく。実は幸福とは成るものではなく気づくものであり、ただそれだけのことで世界も変わるのだ。その為には彼女のように考えることをやめてはいけない。 今回読み返してやまだ紫さんの描く絵の魅力を改めて感じた。正面を向いた顔でもあえて表情を描かないことで、その余白に読み手の想像が生まれる。こうした大胆なテクニックがすごく格好いい。「全身編集者」で白取さんも語られていた、漫画ならではの省略の美とはこういうことなんだと思い知った。