北風吹きぬく寒い夜も、タマゴ酒ひとつで暖かくなる。疲れてもどった下宿屋の、大四畳半荒野に日が落ちる。ああ、ほんとうの事ってなんだろう。外では電線が女のように泣いている。おお零士悲しや!哀愁の第一弾登場。
雨ニモマケズ、インンキンニモマケヌ丈夫ナカラダハモツガ、東ニケンカアレバ、オモシロイカラモットヤレトイイ、西ニ裸ノ女アレバイッテトビツキ、ラーメンライスヲ喰ウ、ソウイウヒトニナリタクナカッタ足立太!
すべての路線が東京をめざすように、おまえがめざした花の都。おまえの四畳半に本当の絶望はない。心にはまだ半畳のゆとりがある。足立太よ、何ばしちょるとか!働いて、働いて、輝く日本の星になれ!
男の独寝わびしいが、慣れりゃ足立太の花が咲く。部屋のにおいに心が和み、ラーメンすすれば夢がわく。畳のシミも数々あるが、ひとつひとつが懐かしい。あゝ、今日も始まる人生行路、如何なりますお天道さん!!
女恋しや、男の運命。心うずいて想いもつのり、よだれタラーリの切なさよ。思うに別れ思わぬに添う、これじゃ足立太が可哀相。四畳半蹴立てて、お月さん見れば、これが可愛い女の姿。今夜はお月見、うれしいな。
ひもじい思いも寝て過ごしゃ、夢で満腹ゲップの音。天下泰平、高いびき。パンツの山に埋もれてりゃ、唯我独尊、幸せムード。だけど浮世は厳しいぜ。欲が騒げば女も恋し。女の胸に抱かれて寝たい気持ちもままならぬ。