あらすじ

「母さんも康子も、どこにもいないんだよ!」――家族4人でのハイキング。山道には霧が濃く立ち込めていた。やがて峠の茶屋にたどり着くが、店の中には誰もいない。火にかけたままの鍋、つけっぱなしのテレビ…つい先ほどまで人がいた気配はあるのに、一体どこへ行ったのか? 「マリー・セレスト号みたいだね」――乗組員全員が消失したという、有名な海難事故になぞらえた息子。そんなことあるはずがない…そう思っていた。妻と娘が、消えてしまうまでは。日本SF界の巨星・小松左京原作によるホラー短編シリーズ、第4弾。

県道は、すぐそこのはずだった――。山歩きをしていた男が、何気なく踏み込んだ小道。方角も距離も確かめた。しかし、行けども行けども出口に辿り着けない。途中で出会う人々は、口々に「すぐそこ」と言うのだが…。県道を探してさまよう彼を、どろりと夕闇が包み込んだとき、一軒の家が現れて――… 謎の空間に閉じ込められた男の運命は!? 日本SF界の巨星・小松左京原作によるホラー短編シリーズ、第1弾。

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家の裏庭から出てきたのは、化石となったナウマン象の骨だった。数万年前の骨が、なぜこの場所から…? 興味を持った家の主は、井戸掘りの男たちとともに穴を掘り下げていく。次々に出土する石器、そして骨。やがて男は信じがたい事実に気付く。掘れば掘るほど、『年代が新しく』なっていくのだ! 縄文、戦国、世界大戦…おびただしい数の骨を掘り出した男が、最後に見たものとは――!? 日本SF界の巨星・小松左京原作によるホラー短編シリーズ、第2弾。

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赤ん坊の激しい夜泣き―― それは『まめつま』という妖怪のせいだと言う祖母の助言に従い、菊江は赤ん坊の枕元に米粒を投げつけた。その米粒には、確かに血の跡が付いている―― こうして怪異は去ったかに思えた。髪を振り乱した、恐ろしい【あれ】が現れるまでは。やがて祖母の口から、この家にまつわる戦慄の過去が語られ始める――… 日本SF界の巨星・小松左京原作によるホラー短編シリーズ、第3弾。

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「母さんも康子も、どこにもいないんだよ!」――家族4人でのハイキング。山道には霧が濃く立ち込めていた。やがて峠の茶屋にたどり着くが、店の中には誰もいない。火にかけたままの鍋、つけっぱなしのテレビ…つい先ほどまで人がいた気配はあるのに、一体どこへ行ったのか? 「マリー・セレスト号みたいだね」――乗組員全員が消失したという、有名な海難事故になぞらえた息子。そんなことあるはずがない…そう思っていた。妻と娘が、消えてしまうまでは。日本SF界の巨星・小松左京原作によるホラー短編シリーズ、第4弾。

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「あの子」がいた。その日もまた、あの二階の部屋から――。戦時中の兵庫県芦屋市。空襲で家を焼き出された僕は、ある邸宅に身を寄せることとなる。この家にいたのは、旧知で気ごころも知れたお手伝いのお咲さん、そして屋敷の主でもある上品な奥様。それとあと一人、病人らしき女の子が二階の部屋で夜な夜な泣く声が聞こえてくる。絶対に姿を見せず、触れてはならないこのお屋敷のタブー。でも終戦のその日、僕は形容しがたいやるせなさをぶつけるかの様に、秘密の二階へとかけ上がってしまった。そして、部屋の障子に手をかけ、決して見てはいけないモノを見てしまったのだ…。日本SF界の巨星・小松左京原作によるホラー短編シリーズ、第5弾。

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