あらすじ

「これは蝉の鳴く頃…一夏の切ない恋物語」16歳の姪と共に暮らす28歳の高弘と美加のクラスメイト佐藤は彼女に密かに想いを寄せる。ひょんなことから高弘は元カノの恵里子に出会う。4人の想いの行方とは?
蝉の鳴く頃 1巻
「これは蝉の鳴く頃…一夏の切ない恋物語」16歳の姪と共に暮らす28歳の高弘と美加のクラスメイト佐藤は彼女に密かに想いを寄せる。ひょんなことから高弘は元カノの恵里子に出会う。4人の想いの行方とは?
蝉の鳴く頃 2巻
想いを告げた佐藤に美加は一体何と返事を…? 夏休みに入り高弘と美加は田舎へ帰省する、そこで回想される二人の出会いとは一体?
蝉の鳴く頃 3巻
幼い美加と若き日の高弘が共に暮らすようになった理由とは? 夏休みの帰省中高弘は姉、久子の墓前で彼女への想いを断ち切る決断をするが、突然の佐藤の訪問に動揺し… ついに美加と
蝉の鳴く頃 4巻
全ての想いの決着がここに。4巻に渡って描かれた4人の切ない恋愛模様ついに終幕! 彼らの純愛に涙すること間違いなし
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童貞噺

童貞噺

少ない友人たちとともに平凡な高校生活を過ごしたタカヒロ。そんな自分に飽き飽きして短大入学を機に髪を染めた彼を待っていたのは大人びた先輩たち、キャバクラでのバイト、そこに通う刺青の男、そして図書館で出会った謎の美少女。平凡な童貞には刺激の強い世界。そうこれは世にも滑稽な童貞の噺。
雪女と蟹を食う

雪女と蟹を食う

金も行き場もない男・北は、自殺を図るが、どうしてもあと一歩が踏み出せずにいた。ある日、テレビのグルメ番組を観て、「人生最後の日は北海道で蟹を食べたい」と思い立ち、強盗を決意する。高級住宅に押し入り、人妻に金を要求するが、彼女の行動は、全く予期せぬものだった――。
エゴイストブルー

エゴイストブルー

プロ画家を志す美大生・谷崎ユリカ(22)。ある日ユリカは、スケッチブックを持った見知らぬ男に声をかけられる。不審に思いそのスケッチブックを覗くと、なんと、そこに描かれていたのは…!!
試し読み
蝉の鳴く頃
愛は与えることで完成するのか、返されることで完成するのか
蝉の鳴く頃 Gino0808
いさお
いさお
『蝉の鳴く頃』は、『雪女と蟹を食う』、『童貞噺』を連載しているGino0808先生の初期作です。内容としては『童貞噺』の後日譚となっています。 本作は、主人公高弘、そして彼とふたり暮らしの高校生の姪、美加の交流を描く物語です。 美加は、母を失い、出生の経緯から親戚からも距離を置かれる天涯孤独の身となった自らを引き取り、一人で育ててくれた高弘に並々ならぬ感情を持っています。そんな美加に片思いするクラスメイト、佐藤くんも登場し、高校生たちの揺れ動く感情が描かれていきます。 それと並行するようにして、高弘の苦悩に光が当てられていきます。高弘はかつて刹那的な享楽にふける、破滅的な人生を送っていました。そんな中姉の葬式で孤独になった美加と出会い、彼女を支えることに人生の意義を見出すことで、再起するのです。しかし、彼も美加との交流を通して、本来姪に対して抱くことは許されない、強い感情をいつしか覚えるようになります。 そんな本作があぶり出すのは、本来ポジティブな概念としてとらえられる「愛」が人間を陥れてしまう、いとおしくも苦しい袋小路です。 本作では、高弘が姉の葬式で美加と出会い、美加と暮らすまでの経緯が、本当に丁寧に描かれていきます。そこで高弘の再起のきっかけとなるのは、確かに美加への愛なんです。愛を与えるということ、それを知ったことで、これまでうわべの享楽にふけるばかりだった高弘の人生は、確かに豊かなものになるんです。 しかし、その愛はやがて異性への恋慕に変性します。叔父と姪、道義上そのような関係は許されません。そして何より、万一そのような関係を美加に強要してしまったら、これからの美加の人生の可能性を閉ざしてしまうことになる。その愛は、決して美加に届き、美加から返されることを望んではならないものなのです。 愛を与えること、それがいかにその者の人生を明るく照らすかを丁寧に描いた上で、その愛が相手から返されないことがいかにその者を苦しめるかを丹念に描く。愛というものを一面的にとらえるのではなく、その多義性を丁寧に暴き出すそのストーリーは、まさに本当の「愛の物語」というほかないのです! すでに長くなってて恐縮ですが、本作の内容をご紹介した上でもう2点、本作の雰囲気と作家性についてアピールさせてください。 まず本作、私見ではありますがとても泣き系ギャルゲーを連想させます。多くない登場人物、そして狭いといっていい舞台の中で、主人公が感情面で袋小路に入っていく苦しみ、そして徐々に他の登場人物たちが話の本流の外に追い出され、主人公とヒロインだけの先の見えない関係に物語が集約されていく退廃感、それでも幸せを探す人間臭さ... 『AIR』の終盤を思わせるような、素晴らしい雰囲気でした。 また、蝉、夏といったモチーフや、いわば主人公を「あげて落とす」ストーリーは、作者のその後の作品、『雪女と蟹を食う』、『童貞噺』との共通性があり、当該2作品をさらに深く楽しめるヒントが多く詰まっています。Gino0808先生の作家性を存分に享受する、という意味でも、非常に魅力的な作品となっています。 全4巻と、読みやすいサイズになっています。私は本作を読んで、これまでなんで読んでなかったんだ!!!と叫びたくなりました。ぜひぜひご購入を!そして、高弘と美加の関係の行方を、見届けてください!